「日本海までモノレールを延ばす!」結果は“わずか8年で休止” そこまで大風呂敷を広げたワケとは? 幻の姫路モノレール

兵庫県姫路市で8年間だけ運行されたモノレールが、来年で60周年を迎えます。その背景には、日本海まで延伸する壮大な「幻の構想」がありました。

市長の交代で頓挫した壮大な構想

 なかでも姫路から約500mしか離れていなかった大将軍のプラットホームは閑古鳥が鳴き、開業2年後の1968年には営業を休止。姫路モノレールの建設を主導した当時の姫路市長、故・石見元秀氏の壮大な延伸構想を崖っぷちに追いやりました。

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手柄山平和公園から眺めた姫路城(奥)。城の奥までモノレールを延伸する構想もあった(大塚圭一郎撮影)

 石見氏は姫路モノレールの開業時に「快適な性能を遺憾なく発揮して、皆さまのご期待に沿い、ご愛顧を得るものと確信します」と自信満々にコメントしました。輸送実績を築いて延伸し、南側は瀬戸内海沿いの工業地帯にある思案橋、北側は姫路城の近くを通って姫路競馬場がある白国、西部は紅葉の名所である書写山(標高371m)付近をつなぐなどの路線網拡大を検討していました。

 さらに、車両の最高速度160km/h、最大で12両連結可能な持ち味を生かし、兵庫県北部の豊岡や京都府北部の舞鶴、ひいては鳥取県の県庁所在地、鳥取まで延ばして「陰陽連絡線」の一つにすることを視野に入れていました。

 しかし、姫路モノレールの失敗でみそを付けた石見氏は、1967年の市長選でモノレール延伸反対派の故・吉田豊信氏に大差で敗北。多額の赤字続きで姫路市の財政を圧迫していた姫路モノレールは74年4月で営業を終え、79年1月に廃止されました。

 元兵庫県立ものづくり大学校長の緒方さんは「もしも姫路駅北部の姫路城や商業施設方面まで延伸できていれば、中心地を縦断する市民や観光客の足となって存続していたかもしれません」との見方を示します。

 2020年9月に土木学会の「選奨土木遺産」に認定された旧手柄山駅や車両などの姫路モノレール遺構群を見学しながら、幻の延伸構想に思いをはせるのも一興かもしれません。

 なお、2025年11月3日には手柄山で無料の「旧姫路モノレールバックヤード特別公開」が開催されます。普段は非公開のモノレール車両の下を係員が案内し、20分間見学できます。10時と10時半、11時、14時、14時半、15時の6回で、各回先着30人が参加できます。

【マジでカッコいい…】これが現役時代の「姫路モノレール」です(地図/写真)

Writer:

1973年、東京都生まれ。97年に国立東京外国語大学フランス語学科卒、共同通信社に入社。ニューヨーク支局特派員、ワシントン支局次長を歴任し、アメリカに通算10年間住んだ。「乗りもの」ならば国内外のあらゆるものに関心を持つ。VIA鉄道カナダの愛好家団体「VIAクラブ日本支部」会員。

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