「これ50ccっすよ」「えぇぇぇー!?」 これぞ“原付ネオクラシック“中古価格も超高騰のモデルとは? “そっくりな兄弟“と明暗わける
90年代のネオクラシック・ブーム後半の1997年、ホンダからクラシカルな印象のバイク「ベンリィCL50」が登場しました。いまや中古価格も高騰している同モデルですが、実は自社内の「似たようなバイク」と明暗を分けました。
よく似たモデル「50S」とは何が違った?
決して派手ではないものの、バイク好きなら必ず「おっ!」と関心を惹かれるモデルだった新ベンリィCL50。オーナーだった40代男性は、街やコンビニで何度か声をかけられて、「これ50ccですよ」と明かすと、「えっ!?」とよく驚かれたと振り返ります。それほど、スタイリングとしては”原付離れ“していたということでしょう。
一方で少々ややこしいのが、このリメイク版CL50の登場前年に、同じベンリィシリーズから「50S」という、非常によく似た派生モデルが発売されていることです。
一見すると「なぜ同じようなモデルが?」と思うほど似ている2台ですが、前述のとおり、先にベンリィをクラシカルに仕立てたモデルとして作られたのが、1996年発売のベンリィ50Sです。こちらは新CL50のようにオン・オフ兼用ではなく、あくまで舗装路中心のオンロードユースのモデルでした。
つまり、50Sをオン・オフ兼用にアレンジしたバージョンが、新しいCL50というわけですが、これは60年代のベンリィCD50と、オリジナル版のCL50の関係性と同様であると言えるでしょう。
そもそもスクランブラーは、オンロード車で未舗装路も走れるようにユーザーがそれぞれ改造を加えていったことから発展したスタイルなので、新CL50は成り立ち的にも“本格派”と見ることができました。
しかし新CL50は、当然ながら50Sよりマニアックな存在でもありました。ベンリィ50Sは2007年の生産終了まで、10年以上にわたるロングセラーとなりましたが、一方の新CL50は一足早く、2001年に絶版となっています。
クラシカルな原付として、より理解しやすい50Sの陰に隠れがちな新CL50ですが、その作り込みや成り立ちを考えると、やはり“オモロかわいい”1台だったなと、筆者は改めて感じます。
新ベンリィCL50は、発売時のメーカー希望価格が19万5000円でしたが、現存数の少なさからか、2025年現在では中古車市場で50万円を超えることも珍しくありません。それだけ、現行のバイクにはない魅力が詰まった1台といえるでしょう。
Writer: 松田義人(ライター・編集者)
1971年、東京都生まれ。編集プロダクション・deco代表。バイク、クルマ、ガジェット、保護犬猫、グルメなど幅広いジャンルで複数のWEBメディアに寄稿中。また、台湾に関する著書、連載複数あり。好きな乗りものはスタイリッシュ系よりも、どこかちょっと足りないような、おもちゃのようなチープ感のあるもの。





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