「ロマンスカーはこうでないと!」 引退してもなお「かつてのロマンスカー」が人気のワケとは

乗りものニュースで実施した「ロマンスカー」に関するアンケートでは、引退した車両の人気が高い傾向にありました。その理由はいったい何でしょうか。

初代「白いロマンスカー」はあえて“区別”していた

 50000形「VSE」の「白いロマンスカー」は非常に人気が高く、アンケートでも1位という結果となりました。しかし、「VSE」以前に「異色のロマンスカーという感じ」(10代・男性)と、新たな一面を見せたのが1991年に登場した20000形「RSE」です。

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20000形「RSE」1991年~2012年に運行(画像:写真AC)

 1991年に登場した「RSE」は、小田急小田原線とJR東海御殿場線の相互直通運転を行う特急「あさぎり」として運用されました。

「スーパーシートやセミコンパートメント席で特別な体験ができたから」(40代・男性・首都圏在住)

「スーパーシートが備わり、一番ラグジュアリー感を感じた」(50代・男性・首都圏在住)

「JR東海との相互運転を行っていて、ダブルデッカーのグリーン車を連結しているから」(60代・男性・首都圏在住)

「異種のロマンスカーと言う感じで他のロマンスカーと違うようなのが良い」(10代・男性)

 もともと御殿場方面の「あさぎり」には「SE」が使用されていました。ところが国鉄の民営化後、30年以上使用されていた「SE」の更新をJR側が打診。相互直通運転の協議などを経て、列車を特急に格上げするとともに、新宿から沼津までの延長運転が決定し、新たな車両として「RSE」が導入されました。

 新宿~御殿場~沼津間を走る「RSE」の白と青(帯はピンク)のカラーリングは、新宿~箱根を結ぶ従来のロマンスカーと区別する意図が込められており、まったく新しいロマンスカーを象徴する存在となりました。

 普通車では「走る喫茶室」のようなシートサービスではなく、ワゴンによる車内販売が行われました。一方、グリーン車ではシートサービスが実施され、座席にはスチュワーデスコールボタンが設置されていました。

 また、編成全体には「海」「山・樹木」「都会」という3つのテーマが設定されており、3・4号車はダブルデッカー(2階建て)構造でした。2階には「小田急のファーストクラス」がサブテーマのスーパーシートを、4号車1階には3区画のセミコンパートメント席を設置。「山・樹木」ブロックには、サービスコーナーが設置されました。

 新宿から沼津までの所要時間はおよそ2時間。箱根方面へ向かう従来のロマンスカーに比べて乗車時間が約2倍となるため、より快適なサービスを提供する工夫がなされていました。

 しかし、ダブルデッカー構造を採用していたことから、「RSE」もバリアフリー法の基準を満たせず、2012年に「HiSE」と同時に引退となりました。ただし、「RSE」車両の一部は現在、富士急行へ譲渡され、同社で運行を続けています。

※ ※ ※

 通勤など実用面の比重が高くなった現在のロマンスカーとは異なり、観光を主目的としていた時代のロマンスカーには、「展望席」や「走る喫茶店」などの思い出を懐かしむ声が多く寄せられました。2028年度に運行開始予定の新型ロマンスカーには、かつてのような観光特急としての魅力を取り戻してほしいという声が多く挙がっています。

【復活を願う声も!?】これがかつてのロマンスカーです(画像)

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