利用者65%減!?「名鉄屈指の赤字路線」ひとまず存続 それでも危機が去らないワケ
愛知県犬山市と岐阜県可児郡を結ぶ路線である名古屋鉄道広見線。近年利用者が減っている影響もあり、一部区間における存廃が議論されるようになりました。その未来を考えてみます。
自治体も大幅関与で存続へ でも将来は……
2025年8月には可児市・御嵩町・八百津町の沿線3市町と運行事業者である名鉄により、今後の協議について発表がありました。それによれば、2027年4月をめどに「みなし上下分離方式」へ移行、路線の存続を目指す模様です。
「みなし上下分離方式」とは、当該路線を走る電車(上)の運行部分と、その鉄道が走行する線路や電線といった維持管理部分(下)を分離し、自治体側が後者(下部分)を負担するという形式です。
公開資料には「4者においては、みなし上下分離方式とする場合の設備投資計画や上下の費用負担の考え方、運行期間等の詳細について検討・協議を進めていく。3市町ではそれを踏まえた沿線3市町の負担割合、活性化に向けた計画の内容等を検討していく」と記載されています。
これにより、とりあえず路線の継続が決まったものの、それでも新可児から御嵩間の鉄道運行はまだまだ厳しい状態が続くことになります。やはり2億円という赤字は存続に大きな不安を残す額と言わざるを得ません。
みなし上下分離で経営を続けるのも、相当の苦労になるはずです。そもそも人口減が続く地域なので、これまで支払ってきた年間数千万円の出費も相当な負担だったはずです。みなし上下分離となれば、それ以上の出費になる可能性もあります。
参考までに2023年度の営業費用を見ると、人件費の1億2000万円を除いたとしても1億7000万円の出費が発生しています。もちろん全額を自治体が負担するとは限りませんが、それでも今まで以上の赤字が発生する可能性もあります。
もし鉄道が廃止された場合は、バス路線への転換が次の案となります。しかし、100年以上続く路線だけに、なんとか営業を続けてほしいところではあります。
Writer: 鈴木伊玖馬(乗りもの好きライター)
愛知県生まれ。飛行機が好きで航空博物館などを取材するうち、自動車関係の記事や取材も手がけるようになる。ホンダ「シビック Type R」のようなホットハッチが好み。





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