「アジアン装甲車」なぜ台頭? 日欧米の撤退・ブランド消滅は“儲からない”から? ひっくり返りつつある市場

世界の防衛装備品マーケットのなかで、欧米メーカーの影が薄くなり、新興国のメーカーが台頭しつつあるのが、装甲車です。市場で起きている地殻変動の背景には何があるのでしょうか。

“儲からない”から?

 ドイツのラインメタルやフランスのネクスターなどの大手装甲車メーカーは、依然として装輪装甲車の生産を継続していますので、これらのメーカーがタイや、ディフェンス&セキュリティを視察するため代表団を送り込んでいた東南アジア諸国を、市場として重視していないのかもしれません。しかし、実のところ欧米の装甲車メーカーの数は少なくなっています。

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日本のコマツが製造していた陸自の軽装甲気動車(画像:陸上自衛隊)

 前に述べたようにアジア諸国やトルコなどのメーカーが台頭してきたため、2010年代後半からアジア諸国で開催される防衛装備展示会で、欧米装甲車メーカーの存在感は小さくなっているという印象を受けます。

 アメリカとヨーロッパ諸国には冷戦時代、国営も含めて多数の装甲車メーカーが存在しました。しかし、そのメーカーの多くは冷戦終結後に装甲車部門の他社への売却、同業者同士の合併などにより、装甲車事業を行っている企業の数は減少しています。

 イタリアのイベコは、イタリア陸軍などに採用された装輪自走砲「チェンタウロ」などを開発・生産した老舗企業ですが、2025年に防衛部門をイタリアの防衛大手レオナルドに、メイン事業の商用車部門はインドのタタグループにそれぞれ売却すると決定しています。売却完了後はイベコというブランドが消滅する見込みです。

 日本でも、陸上自衛隊の装輪装甲車の開発・生産を行ってきた小松製作所が、装甲車の新規開発・生産事業から撤退しています。

 小松製作所の撤退理由は明らかにされていませんが、装甲車の生産・開発は労働集約型産業(機械や設備よりも人間の労働力に依存する度合いが高い産業)の側面が強く、航空機や指揮統制システムのような「高付加価値商品」と見なされる防衛装備品に比べて大きな収益を上げることは困難なことから、より大きな収益を上げられる建設機械などの事業に経営資源を集中するためだとも言われています。

 欧米で装甲車メーカーの統合や装甲車事業からの撤退が相次いでいるのは、この低収益性に加えて、少子化により労働力の確保が困難になりつつあることも影響しています。

【日本の選択肢めっちゃある!?】これが「アジアン装甲車」の数々です(写真で見る)

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