「これが次の戦闘機か~」展示会で長蛇の列! アメリカ製は閑古鳥 ただ「その次」はライバル多数!? まだまだ変わるタイの戦闘機

タイの首都バンコク近郊で開催された防衛展示会で、タイ空軍が次期戦闘機として採用を決定した「グリペンE」の実大模型が展示されました。F-16との争いを制した同機ですが、その後も“採用争い”が繰り広げられそうです。

この先も「激しい採用争い」勃発か

 タイ空軍は2025年11月現在、グリペンC/DとF-16A/Bのほか、F-5E/Fに大幅な近代化改修を加えたF-5TH、ダッソー/ドルニエ「アルファジェット」、韓国から導入したT-50 TH、合計5種類のジェット戦闘/攻撃機を運用しています。

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サーブが出展した「グリペンE」の実大モックアップ。コックピットに座ることもできたことから、見学者の長蛇の列が出来ていた(竹内 修撮影)

 これらのうちF-5THとアルファジェットは1970年代、F-16A/Bも1980年代に導入されていますので、前者に関しては2031会計年度、後者のうち第403飛行隊で運用されている機体に関しては2035会計年度に、後継機の導入が計画されています。

 グリペンE/Fの調達予定機数は12機「以上」ということになっていますので、当然サーブはグリペンE/Fの追加調達を狙っていると思いますし、ロッキードマーティンもF-16Vで「リベンジ」を図るものと思われますが、両社には強力なライバルが出現しています。それは韓国と中国です。

 韓国の航空機メーカーKAI(Korea Aerospace Industries)はディフェンス&セキュリティ2025に FA-50軽戦闘機と、開発を進めているKF-21「ボラメ」の模型を出展しています。

 前に述べたようにタイ空軍はT-50 THを運用していますので、同機の戦闘攻撃機としての能力をさらに高めたFA-50は、タイ空軍にとって使いやすいはずです。その能力はアルファジェットとF-5THを凌駕していますし、KAIはおそらく軽戦闘機として初めて、敵の防空網制圧も行える無人航空機との協働運用コンセプト「SUCA」を打ち出しているので、この点も有利な要素となるかもしれません。

 2035会計年度に予定されているF-16A/Bの後継機調達計画は、「第5世代戦闘機」を導入するという断り書きが付けられています。グリペンE/FとF-16Vは第5世代戦闘機ではありませんし、現時点でアメリカは第5世代機であるF-35のタイへの輸出を容認していません。ロシアも第5世代戦闘機のSu-57の輸出を行っていますが、タイはロシアから戦闘機を導入したことはありませんので、Su-57が候補になる可能性は低いと考えられます。

 一方、中国の国有航空機メーカーである中国航空工業集団有限公司は、J-35戦闘機の派生型で、輸出可能な第5世代戦闘機「FC-31」の模型をディフェンス&セキュリティ2025で展示していました。タイは中国から戦車や潜水艦を導入するなど、密接な防衛協力関係にありますので、現時点ではFC-31が最有力候補になるものと思われます。

 ただ、現状では「第4.5世代+」戦闘機に分類されているKF-21にも、将来限りなく第5世代戦闘機に近いレベルにまで能力を引き上げる計画がありますので、2035会計年度に行われるタイの新戦闘機導入計画は、FC-31とKF-21を軸に争われるのではないかと考えられます。

【うぉ、めっちゃカッコいい!】これがタイ空軍仕様の「最新グリペン」です(写真)

Writer:

軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。

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