「ハーキュリーズの後継はハーキュリーズで」とはならない? 空自C-130H輸送機の後継選び “アレコレ叶える”欲張り機体はどれ!?
防衛装備庁が空自C-130H輸送機の後継機選定に向けた動きを見せています。現行機の改良型であるC-130Jが有力視されそうですが、単純にはいかない事情があるようです。
でっかいC-2に空中給油機能をつければ万事解決、でもないワケ
C-2は空中給油を受ける機能はあるものの、他の航空機に空中給油を行う機能はありません。C-2の貨物搭載量は32~36トンと、C-130Jの約19トンより大きいですから、C-2に空中給油機能を追加して、それを調達すればいいと考える人もいるのではないかと思います。
日本の安全保障環境がそれほど厳しくなく、財政状況も現在より良好だった1990年代前半ならば、そのような選択もあったのかもしれません。しかし今は時代が違います。
アメリカ太平洋海兵隊司令官のジェームズ・グリン氏はアメリカ軍の防衛装備品について、「インド太平洋地域において年単位のタイムラインは通用しない。我々に完璧な解決策を待つ時間はない」と述べています。これはインド太平洋地域に所在する日本の防衛装備品にも共通して言えることでしょう。
C-2に空中給油機能を追加するという手法は「完璧な解決策」と言えるのかもしれませんが、設計変更や開発に伴う長い時間と、そのための大きなコストを費やす余裕は、安全保障環境と財政状況がひっ迫している現在の日本には無いと筆者は考えます。
では、どのような機体がC-130Hの後継として考えられるのでしょうか。
日本が「脈あり」と考えている? 空中輸送機メーカーとは
2025年8月30日、日本の外交使節団は、他国の外交使節団と共にブラジルの航空機メーカーであるエンブラエルのKC-390空中給油・輸送機の製造施設を見学しています。これはエンブラエルの招待に応じたものですが、エンブラエルが「脈あり」と考えていなければ、日本の外交使節団を招待するとは考えにくいため、航空自衛隊はC-130Hの後継機として、KC-390の導入も検討しているものと思われます。
KC-390は燃料タンクを搭載しなくても、他の航空機に空中給油ができますし、最大貨物搭載量(26トン)もC-130Hより大きく、空中給油能力と輸送力の強化を実現できます。
もうひとつ候補機となり得るのが、エアバスのA400M輸送機です。A400Mも燃料タンクを搭載しなくても空中給油ができますし、最大貨物搭載量は約30トンに達します。





コメント