「ハーキュリーズの後継はハーキュリーズで」とはならない? 空自C-130H輸送機の後継選び “アレコレ叶える”欲張り機体はどれ!?

防衛装備庁が空自C-130H輸送機の後継機選定に向けた動きを見せています。現行機の改良型であるC-130Jが有力視されそうですが、単純にはいかない事情があるようです。

「空中給油だけじゃない」エアバスA400Mのメリット

 エアバスは2025年6月に、A400M用の空中消火キットの試験キャンペーンを完了しています。このキットは大規模な山火事などへの使用を想定して開発されたもので、貨物室に搭載する短時間で着脱が可能なキットから、最大2万リットルの水または難燃剤を散布できます。

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海上自衛隊のUS-2飛行艇。消防飛行艇へ改造するよりも、輸送機で火災への対応能力を備える考え方もある(画像:海上自衛隊)

ターボプロップ機のA400Mはジェット機に比べて低空・低速飛行が容易に行えますので、フランスで行われた試験では30mの低高度を235km/hの低速で飛行して、難燃剤の散布を行っています。

 石破 茂前首相は2025年3月10日に開催された参議院予算委員会で、消火能力の高い消防飛行艇の可能性について、「検討を早急に行う」と述べています。この方針が高市内閣に継承されているのかは不明ですが、海上自衛隊の運用しているUS-2飛行艇の消防飛行艇への改造はコストと時間がかかりますし、他国で運用されている消防飛行艇の導入は、どの組織が運用するのかという問題がクリアできそうにないため、どちらも現実的ではないと筆者は考えます。

 輸送能力の拡大と空中給油能力の確保に加えて、大規模火災への対処能力の強化を短期間で実現したいと政府や航空自衛隊が考えるならば、A400Mの導入も真剣に検討すべきだと筆者は考えます。

【え…日本大使が…!】これがC-130Hの後継になるかもしれない輸送機です(写真)

Writer:

軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。

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