駅の「発車メロディ」J-POPだらけになったワケ「発車ベルどこ行った?」ただ今後また変わる可能性も

大都市ではおなじみの発車メロディ。かつて「ジリリリ」というベルが主流でしたが、なぜメロディに変わったのでしょうか。背景には「うるさい」という声のほか、著作権料をクリアーできるようにした“仕組み”がありました。

「J-POP化」のウラ側と自治体の“おカネ”

 汎用メロディが普及すると、今度は自治体や地元の商店街から「駅の個性を出したい」「町おこしにつなげたい」というニーズが高まります。こうして「ご当地メロディ」が誕生しました。

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発車ベルスイッチを押すイメージ(画像:写真AC)

 首都圏で最初のご当地メロディとされるのは、1997年に導入されたJR蒲田駅の『蒲田行進曲』です。ほかにも、高田馬場駅の『鉄腕アトム』や、舞浜駅のディズニーソングなど、その土地にゆかりのある曲が「駅の顔」として採用され、地域のPRに貢献しました。

 近年では、このご当地メロディの定義が拡大し、「その土地出身のアーティストの曲」がJ-POPを中心に採用されるケースが急増しています。

 J-POPのヒット曲は、幅広い世代の乗客に「あ、あの曲だ」という安心感や癒やしを与え、鉄道会社のイメージアップにつながります。

 しかし、J-POPの採用には「著作権料(JASRACなどへの使用料)」という最大のハードルがありました。この問題を解決したのが、費用を鉄道会社ではなく「導入を希望する自治体や団体が負担する」というスキームです。

 たとえば、小田急 海老名駅で流れる、いきものがかりの楽曲は、地元の要望を受け実現しました。また、JR神田駅のように、アース製薬が『モンダミンのうた』の費用を負担するといった企業コラボの例もあります。

 過去には東武東上線の5駅で、地元出身のアーティスト「KeyTALK」の楽曲が期間限定で使用されたこともありました。

 このようなスキームの誕生により、鉄道会社はコストを負担せずにイメージアップを図れるようになり、J-POPメロディ導入のハードルが一気に下がったのです。

使われなくなった無人駅のアナウンス用電話

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