陸自の戦車も「飛んでくる弾を叩き落す!!」はずが…迷走する「防御の目玉」装備計画 実績あるシステムは“見ないふり?”

陸上自衛隊の10式戦車に搭載が検討されているアクティブ防護システム(APS)の選定が難航している模様です。有力候補と見られていたシステムが相次いで検証対象から外された背景には、何があるのでしょうか。

陸自も導入検討…しかし有力候補がなぜか除外?

 防衛装備庁は2024年10月に、陸上自衛隊の運用する10式戦車への搭載を前提とする「装甲戦闘車両のアクティブ防護システム搭載に関する概念実証業務委託」の一般競争入札を公告しています。

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陸上自衛隊の10式戦車(画像:陸上自衛田)。

この一般競争入札は不調に終わったようで、結局12月の仕切り直し入札でトロフィーのメーカーであるラファエル・アドバンスド・ディフェンス・システムズが「1円」で落札しているのですが、防衛装備庁は検証を対象とするアクティブ防護システムから、トロフィーを除外しています。これはいったい何故なのでしょうか。

 トロフィーには、同一方向から連続して飛来する対戦車弾に対する迎撃能力と、APFSDS弾(装弾筒付翼安定徹甲弾)のような高速で飛翔する運動エネルギー弾への迎撃能力が弱いという難点があります。

 他方、イスラエルのIMI(Israel Military Industries)が開発を進めている「アイアンフィスト」は、運動エネルギー弾への対処も目指しており、アイアンフィストを導入したアメリカ陸軍は改良を加えて、当初は50%程度だった迎撃成功率を、70%程度にまで上昇させたと報じられています。

国際情勢への“配慮”か?

 陸上自衛隊がアクティブ防護システムに、同一方向からの連続攻撃や、運動エネルギー弾への対処能力を重視しているのであれば、トロフィーを除外するのもうなずけますが、実のところ前に述べた2024年10月入札後の12月に行われた再公告入札の検証対象からは、アイアンフィストも除外されています。

 防衛装備庁は最初の入札が不調に終わった理由と、検証対象とするアクティブ防護システムの選定理由を明らかにしていませんので、これは筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)の推測でしかないのですが、おそらくアイアンフィストの除外は、パレスチナのガザ地区に対するイスラエルの姿勢に対する世論の反発を考慮してのことなのではないかと思います。

「装甲戦闘車両のアクティブ防護システム搭載に関する概念実証業務」と同じ2024年10月に公告された「車両のアクティブ防護システム搭載に関する設計検討」は、10式戦車のメーカーである三菱重工業が2億円で落札しています。

 防衛装備庁が2025年12月に行った入札では、概念実証を行うアクティブ防護システムがドイツ・ラインメタルの「ストライクシールド」またはその同等以上の製品と明記されていますので、三菱重工業はその搭載を前提に、設計変更を進めているものと思われます。

 防衛装備品は導入から長期間使用されるものなのですから、その時々の国際情勢に対する世論への配慮だけで、導入の是非の判断はともかく、検討や検証の幅まで狭めてしまうのは、長期的な日本の安全保障にとってはプラスにならないと筆者は思います。

【見た目でも違う!】これが陸自戦車にも付くはずの「アクティブ防護システム」です(写真)

Writer:

軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。

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