滑走路のナゾ数字「34L」って何?「ABCD」「東西南北」じゃない理由 意外すぎる修正事情も

空港の滑走路に書かれた「34L」や「16R」の文字。これは単なる番号ではなく、飛行機が安全に飛ぶために欠かせない「方位」を示す世界共通のコードです。パイロットはこれをどう使っているのでしょうか。

管制官の指示と「指差確認」で事故を防ぐ

 羽田空港や成田空港、伊丹空港などの大規模空港では、同じ方向に複数の滑走路が平行して並んでいます。

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滑走路に書かれる数字の意味とは?(画像:PIXTA)

 この場合、数字だけでは区別がつかないため、Left(左)の「L」、Right(右)の「R」を使って識別します。この左右の区別は、その滑走路に着陸しようと進入してくる飛行機から見て判断されます。

 羽田空港のA滑走路とC滑走路は、どちらも約337度を向いているため、「34L」および「34R」と呼ばれています。

 ちなみに、もし滑走路が3本平行して設けられているのならば、真ん中は「C(Center)」が使われます。成田空港では2029年3月にC滑走路が完成予定であり、そうなると現在のB滑走路が「34C/16C」に変更される計画です。もしそうなれば、これが日本の民間空港で初の「C」の使用例となる見込みです。

 ちなみに、もし4本以上の滑走路が平行する場合は、方位を10度ずらして表記する(例:ダラス・フォートワース空港)といったルールもあります。

 この数字とアルファベットの組み合わせは、単なる識別に留まらず、パイロットの安全確認プロセスにおいて「最後の砦」ともいえる重要な役割を担っています。

 パイロットは、地上走行から離陸許可まで、航空管制官(ATC)と厳密なやり取りを行います。離陸許可は、例えば「Runway 34L(スリー・フォー・レフト)、Cleared for takeoff(離陸許可)」のように、必ず滑走路番号とアルファベットを含んだ形で指示されます。

 パイロットは滑走路に進入する直前、目の前の滑走路に大きく書かれた「34L」の表示を目視で確認します。同時に、コックピットの方位計(HSIなど)を見て、機首の方位が指示された方位(約340度)と一致しているかを指差確認します。

 これは、誘導路と滑走路が複雑に入り組む大規模空港で、万が一にも違う滑走路や閉鎖中の滑走路に進入してしまう「滑走路誤進入(Runway Incursion)」を防ぐための、極めて重要な安全確認プロセスです。

【使える人限られます】これが滑走路を横切る横断歩道です(写真)

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