滑走路のナゾ数字「34L」って何?「ABCD」「東西南北」じゃない理由 意外すぎる修正事情も
空港の滑走路に書かれた「34L」や「16R」の文字。これは単なる番号ではなく、飛行機が安全に飛ぶために欠かせない「方位」を示す世界共通のコードです。パイロットはこれをどう使っているのでしょうか。
磁北がズレる!? 数字の書き換え結構あります
これら滑走路の数字は、一度決まったら永遠に変わらないわけではありません。実は、地球の都合に合わせて「書き換え」が行われることがあります。
基準となる「磁北」は、地球の磁場の影響で、実は毎年約60kmの速度で少しずつ動いています。飛行機の計器は常に最新の磁北データ(偏角)を補正していますが、滑走路のペンキ数字(文字)は固定されたままです。
このズレが長期間蓄積した末に、方位角の四捨五入の結果が変わってしまう(例えば344.9度が345.0度になる)と、滑走路の番号も変更する必要に迫られるのです。
日本では磁気偏角の変化が非常に遅いため稀ですが、海外では多くの事例があります。例えば、アメリカ南東部フロリダ州にあるタンパ国際空港では2011年に磁北の移動により滑走路番号を「18/36」から「01/19」へ変更しました。
スイスのジュネーブ空港でも2018年に同様の理由で番号が変更されています。この「書き換え」は、単にペンキで塗り直すだけでなく、空港内の無数の案内標識や航空図面の修正も必要となるため、アメリカの空港では数十万ドルの費用がかかると見積もられた事例もあります。
滑走路の数字は、単なる識別番号ではなく、「磁北を基準とした方位」という世界共通のルールに基づいた合理的なシステムです。
パイロットはこれをコックピットの計器と照合し、管制官とのコミュニケーションにも使うことで、日々の安全運航を支えています。次に空港を訪れた際は、その数字がどの方角を指しているのか、思いを馳せてみてはいかがでしょうか。





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