失意のうちに日本を去った「元JRの最新高速船」が“韓国”でデビュー! “日本船だらけ”の中を本気走り!?
かつて博多~釜山航路に就航していた日本の「クイーンビートル」が、韓国のクルーズ船「パンスターグレイス」として生まれ変わりました。特異な赤いトリマラン(三胴船)で楽しむクルーズで見られたのは「日本のフネだらけ」な光景でした。
まるで「船のデパート」釜山港 ただよく見ると…!
韓国海洋大学校の練習船「ハンバダ」を横目に沿岸旅客ターミナルを出港すると、右手にHJ重工業の影島(ヨンド)造船所が見えてきます。同社は韓国初の造船所であり、韓国造船業の発祥の地として、艦艇から商船まで数多くの船種を手掛けています。岸壁には韓国海軍の揚陸艦「独島」や海洋警察の新造警備艦「3019」などが接岸していたほか、ドックでは巨大なコンテナ船の建造が進められていました。
左舷側に目を向けると、再開発が進む北港エリアと海の玄関口である国際旅客ターミナルに接岸している船が目に入ってきます。ここには日本航路に就航しているフェリーや外航クルーズ船が寄港しており、商船三井クルーズの「三井オーシャンフジ」や、パンスターの「パンスターミラクル」(大阪―釜山航路)、関釜フェリーの「はまゆう」(下関―釜山航路)の姿が。奥にはイースタンクルーズの「イースタン・ビーナス」(元ぱしふぃっくびいなす)も停泊しており、さまざまな経歴を持つ船が集まっているのも釜山港ならではの景色と言えるでしょう。影島には船体にキリル文字が書かれている船も多くいました。
韓国第二の都市である釜山の市街地を背に「パンスターグレイス」は、同港のシンボルと言える釜山港大橋をくぐり、新造だけでなく修繕や舶用機器といった海事産業の集積地である影島と、釜山港の発展を象徴するコンテナターミナルの間を進んでいきます。世界最大となる2万4000TEU級に代表されるメガコンテナ船は西側の釜山新港に入るためここでは見ることはできませんが、それでも林立するクレーンと岸壁に並ぶコンテナ船は圧巻です。
高速船時代にはなかった「特等席」
ところで「パンスターグレイス」では低速のクルーズがメインであるため、「クイーンビートル」では難しかった、外に出て景色を眺めるということができます。もちろん雨天時や、高速航行中は閉じられていますが、タイミングが良いと乗組員がデッキに通じるドアを開けてくれます。
3階の展望席であるサンデッキから外へ出られるだけでなく、なんと船首側のドアも開放するため、正面から迫る釜山港大橋の写真を撮ったり、入港作業を間近で観察したりと、いろいろな楽しみ方ができるでしょう。




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