「東京メトロ式」で快進撃の海外地下鉄、運転士がスゴすぎる!? 「これを1日8時間…」 シミュレーターが“激ムズ”だった

英ロンドンのエリザベス線は、東京メトロや住友商事が英国鉄道大手Go-Aheadグループと共同出資する地下鉄路線です。今回、この心臓部ともいえる車両基地を見学。1台が数百万ポンド(数億円)するという本物の運転シミュレーターも体験しました。

大きい「生存確認装置」に苦戦

 私がシミュレーターで運転して四苦八苦したのは、制御システムの違いだけではありませんでした。

 通常、列車には、運転士が急病などで意識を失った場合などを検知する「デッドマン装置」が搭載されています。1918年に米ニューヨークの地下鉄で発生した事故がきっかけとなり導入され始めた装置で(ニューヨーク・ポストによる)、日本では運転士が手元のボタンなどを押し続けて健在だということを示す形が一般的です。急病などで意識が遠のき握力が緩むと、ボタンから手が浮き、列車が緊急停止する仕組みです。

 エリザベス線のデッドマン装置は、その名称を「不寝番(The Vigilance)」といいますが、これが足元にあります。日本でも、一部の車両で筆箱大の装置を片足で踏むケースが見受けられますが、エリザベス線の「不寝番」装置はとにかく大きく、一般的な体重計より一回り大きいくらいの重たい金属製の板なのです。

 身長164cmと日本人女性としては小柄ではない筆者ですが、その大判の装置を両足でずっと踏み込み続けるだけで、足が痺れます。

 その上、例えば、運転士が減速も加速もせず、60秒間、何も操作をしなかったなどという場合は、「装置を踏み込み続けた状態で具合が悪くなっている」という危険性があるため、運転士に注意喚起をするブザーが鳴ります。ブザーから6秒以内に足元の大判の金属板を両足で「ギッコン!バッタン!」と前後に漕がなければ、これまた列車が緊急停車してしまい、さらにそこから30秒以内にブレーキを解除しなければ列車運行を見張っている指令部でアラームが鳴るようになっています。

 運転士は手元であらゆるレバーやボタンを操作した上で、足元はずっと緊張して力を込める状態の運転を、休憩を挟みつつとは言え、1日平均で約8時間するワケです。ロンドン中心部に入って自動運転になったとしても、この両足での“生存確認”は続きます。その上で定時運行率の向上にも努めなくてはならないのですから、頭脳的にも体力的にもかなり疲労がかさむ職業だと感じました。

 しかし、「シミュレーター研修を経ると、それも、大丈夫」と、研修責任者のオルショラ氏は余裕の笑顔。さすが、競合他社も視察に来る数億円のシミュレーターです。

【数億円】これが基地内部と研修用の「運転台」です(写真)

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