国内線はタダなのに!「国際線の機内Wi-Fiが数千円」するワケ あえて高くする“蛇口理論”とは
国内線の機内Wi-Fiは無料が当たり前ですが、国際線はいまだに数千円かかることもあります。なぜこれほど差があるのでしょうか。裏には宇宙規模の物理的な壁と、意外な「水道の蛇口」の事情がありました。
あえて高くしている? 「水道の蛇口」でわかる意外な理由
ここでイメージしてほしいのが「水道の蛇口」です。
はるか彼方の静止衛星とつながる回線は、いわば非常に細い水道管のようなものです。一度に送れる水(データ)の量には限界があります。
もし、これを全員に無料開放したらどうなるでしょうか。乗客みんなが一斉に動画を見始め、細い水道管はすぐに飽和してしまいます。
結果、水圧(通信速度)が極端に下がり、仕事でメールを1通送りたい人ですら、つながらなくなってしまうでしょう。
つまり、3000円という高額な料金設定は、コスト回収のためだけでなく、利用のハードルを上げて利用者を絞るための「蛇口」の役割を果たしていたのです。
あえて使う人を減らすことで、必要な人に最低限の通信速度を確保していたといえます。
しかし、そんな空の常識がいま、劇的に変わろうとしています。「スターリンク」が登場したからです。
イーロン・マスク氏率いるスペースXが展開するこのサービスは、従来の常識を覆しました。使うのは高度約3万6000kmの静止衛星ではなく、わずか高度550kmを周回する低軌道衛星です。
距離にして従来の約65分の1。圧倒的に近いため、衛星までの距離が近く、静止衛星方式に比べて遅延が小さいとされています。
日本でも、JAL傘下のLCC(格安航空会社)であるZIPAIRが、既存の通信衛星を使いながらも機内インターネットを無料で提供しています。
しかし、同社はアジアで初めてスターリンクとの提携を発表。一部報道では早ければ2026年春を目処にシステムを一新し、名実ともに「自宅のように使える無料Wi-Fi」の実現を目指しているとしています。
もちろん、既存のアンテナの交換や契約の切り替えには時間がかかるため、すべての飛行機ですぐに実現するわけではありません。
それでも、空の常識が変わり始めていることは確実でしょう。





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