1隻9500億円超! 計画断念が生んだ「令和の戦艦大和」なぜイージス・システム搭載艦は巨大化した?

陸上配備の断念から生まれた「イージス・システム搭載艦」。そのサイズやコストは、まさに現代の「戦艦大和」級とも囁かれています。なぜこれほど巨大化する必要があったのでしょうか。

なぜ巨大化? 理由は「レーダー」と「個室」

 コストも巨額です。令和6年度予算では2隻の建造費として3731億円が計上されており、1隻当たり約1865億円です。

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イージス・システム搭載艦の概要(画像:防衛省)

 しかし、搭載するレーダーやミサイルなどの装備品の費用を含めた総コストは、防衛省の試算で2隻約1兆9000億円を超え、1隻当たり約9700億円規模に達するとされています。

 では、なぜこれほど船体を大きくする必要があったのでしょうか。理由は大きく2つあります。

 1つ目は、搭載する超大型レーダー「SPY-7」を安定させるためです。

 このレーダーは本来、陸上のガッチリした地盤に置くことを想定したもので、非常に重く、重心が高くなります。海の上で荒波に揉まれてもレーダーを正確に運用するには、船体を大きくしてドッシリさせ、船の揺れを抑える必要があります。

 2つ目の理由は、意外にも「居住性の向上」です。この船の任務は、長期間、洋上に留まり続けることになります。期間は数週間から数か月単位にも及ぶと想定されています。

 従来の護衛艦は「3段ベッドや2段ベッドが並び複数人部屋」が当たり前でしたが、イージス・システム搭載艦では「全乗組員に個室を与える」方針が打ち出されています。

 プライバシーを確保し、Wi-Fi環境などを整備することで、長期間の任務によるストレスを減らす狙いです。また、これは少子化による自衛隊の人材不足を解消するためのアピールポイントにもなります。

 一方で乗員数は、まや型(約300名)よりも少ない240名程度に抑える計画ですが、それでも“誰が乗るのか”という人手不足の壁は依然として課題です。

 また、どんなにミサイル防衛能力が高くても、巨大な船体は潜水艦の魚雷など水面下からの攻撃には格好の的になるのではないか、というリスクも指摘されています。

 戦艦「大和」は巨砲で敵を倒す「矛(ほこ)」でしたが、イージス・システム搭載艦は日本を守るための「盾(たて)」です。

 「大きすぎて無駄」と言われないよう、その巨体に「国民の安全」という重い荷物を背負って海に出ることになります。

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