ベネズエラ大統領を電撃拘束! 米軍の「斬首作戦」を支えた“闇夜の追跡者”とは?『ブラックホーク・ダウン』の失敗は生きたか

アメリカ軍が南米ベネズエラを軍事攻撃し、同国のマドゥロ大統領を拘束したとの報道が、2026年1月4日未明に飛び込んで来ました。この奇襲作戦を成功させた立役者が、黒く塗られた大小のヘリを操る特殊部隊「ナイト・ストーカーズ」です。

世界を変えるかもしれない軍事作戦

 2025年12月時点で、160th SOARは連隊本部と4個大隊で編制されています。ただし部隊の性格上、公になっていない部分が多く、詳細はほとんどわかりません。装備は大小さまざまなヘリコプターと少数の無人機からなり、軽輸送用のMH-6「リトルバード」と強襲用のAH-6「キラーエッグ」、中型強襲攻撃用のMH-60「ブラックホーク」が主力です。このほかに、任務に応じて重強襲用のMH-47「チヌーク」も投入できる構成になっています。

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ファストロープ降下で兵士を降ろすMH-47特殊作戦ヘリコプター(画像:アメリカ陸軍第160特殊作戦航空連隊)。

 そんな160th SOARであっても、「アブソリュート・リゾルブ」作戦はかなり危険な作戦であったに違いありません。事前の空襲がいかに強力であっても、敵国のど真ん中、しかも軍事基地内の大統領私邸でヘリボーン作戦を実施するとなれば、相当な抵抗があるはずです。そのような作戦でありながら、実際の損害は、一部機体が被弾して、若干名の負傷者が出ただけでした。軍事作戦としては「完璧」と評すべきほどの大成功です。

 今回のアメリカの行動、特に独立国に対する「斬首作戦」の実施を巡っては、当面、さまざまな立場や観点から多角的な議論は続くでしょう。ロシアにウクライナ戦争を正当化する裏付けを与え、中国が台湾侵攻へと踏み出す論拠になりかねない、またそこまで至らなくても極東アジアが抱える問題を不安定化させるのでは、といった意見も出ています。

 しかし純軍事的な観点からすれば、このような、まるでアクション映画のような作戦を実施できる組織は、アメリカ軍以外にはありません。またベネズエラの原油利権に深くコミットした中国は、同国をアメリカから守るために、F-22「ラプター」のようなステルス機の探知も可能という、南米で最高の防空システムを構築したと喧伝していました。しかし、今回の作戦で、その中国製防空システムが機能しなかったことも明らかになりました。

 今回のマドゥロ大統領の拘束作戦を俯瞰すると、ハイテク兵器同士の衝突となれば、いまだ性能、経験ともアメリカが極めて有利であること。また在日米軍が「アブソリュート・リゾルブ」作戦のような高度な軍事作戦のアセットになり得ることを明確に示したと言えるでしょう。

 ゆえに、じつは中国側にアメリカの軍事的優位性を見せつけ、少なくとも軍事力の行使を前提とする台湾有事の可能性を低下させたのではないかと、筆者(宮永忠将:戦史研究家/軍事系Youtuber)は見ています。

【暗視装置でクッキリ!】これが闇夜に活動する「ナイト・ストーカーズ」です(写真で見る)

Writer:

1973年生まれ、上智大学文学部史学科卒業、東京都立大学大学院人文科学研究科中退。 雑誌編集者、ゲーム会社ウォーゲーミングジャパン勤務等を経て、各種メディアにて歴史・軍事関連の執筆や翻訳、軍事関連コンテンツの企画、脚本などを手がける。Youtube「宮永忠将のミリタリー放談」公開中。

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