戦車発明国の「新型戦車砲」が有人砲塔で砲撃に成功!…でも素直に喜べない? ウラにある「英国面」の黄昏
イギリスが開発を進めている新戦車「チャレンジャー3」が、有人での主砲実射試験に成功しました。戦車発明国にとって30年以上ぶりとなる快挙ですが、その背景には、かつての「戦車大国」が抱える複雑な事情と「黄昏」が見え隠れします。
戦車発明国が30年ぶりの“有人”砲撃試験
「イギリスの装甲車両開発にとって誇らしい瞬間です」
2025年1月20日、イギリス国防省の防衛装備支援機構(DE&S)は、開発中の「チャレンジャー3」戦車が、砲塔に乗員が搭乗した状態で120mm滑腔砲の実射試験に成功したと発表しました。
開発を担当するラインメタルBAEシステムズランド(RBLS)のマネージング・ディレクター、レベッカ・リチャーズ氏は「この成功は、チャレンジャー3計画がいかに進展しているかを示すものであり、イギリスの装甲車両開発にとって誇らしい瞬間です」とコメントしています。
イギリスが新型戦車砲の実射試験を有人状態で行ったのは、実に30年以上ぶりです。戦車砲の試験には設計の安全性や堅牢性、準備の確実性を確保するため、砲のみの実射、砲塔に装備して遠隔操作による実射などのステップが必要で、有人の砲塔による実射にこぎ着けたことは完成形に大きく近付いたことを示します。これは単なる技術試験の成功以上の意味を持っています。
イギリスは、第一次世界大戦中の1917年に世界で初めて戦車を実戦投入した国です。当時、塹壕戦で膠着した戦況を打破する存在として、戦車はまさに「ゲームチェンジャー」でした。
しかし、その後のイギリス戦車史を振り返ると、必ずしも主導的な立場を維持できたとはいえません。第二次世界大戦期には「歩兵戦車」と「巡航戦車」という独特の区分けにこだわり、一定の合理性はあったものの柔軟性を欠きドイツの「汎用戦車」に後れを取る結果となりました。後世から見れば「なぜそうした設計思想に固執したのか」と首をかしげたくなる事例も少なくありません。こうした独自のこだわりは、しばしば「英国面」とも揶揄されています。
21世紀の戦場でゲームチェンジャーとなったのは、無人機(ドローン)です。「戦車はもう不要ではないか」という議論も再燃しています。それでもイギリスは、チャレンジャー3という戦車を開発しています。その背景には、戦車という兵器が持つ象徴的な抑止力、そしてイギリスの政治・経済・安全保障政策が複雑に絡み合っています。





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