「ボルト1本落としてはならない」緊迫の工事 10の線路をまたぐ首都高横浜北線の高架橋
鉄道の上に「鉄道」? 最大2000tの橋桁をどう架けた?
横浜北線は、生麦JCTから「鉄道交差部」を越えると、すぐトンネルに入ります。「鉄道交差部」における橋桁の架設は、このトンネル坑口付近に、作業台を設けることから始まりました。
作業台に敷いたレールに台車を設置し、その上に橋桁の一部を載せて、線路を越えた先の橋脚まで橋桁を少しずつ送り出していったのだそうです。架設が済んだ橋桁にさらにレールを敷き、次の橋桁を同じ要領で順次送り出していったほか、一部は既設の橋桁上から横にスライドさせて橋脚間に架設することも行われています。
ひとつの橋桁の重量は、最大で約2000tにもなるといいます。これら架設工事はすべて、終電後の午前1時前後から4時ごろまでの約3時間に行われ、4年半ほどを要したそうです。そのあいだ、国道は要所で夜間通行止めが実施されましたが、鉄道は運休されることなく、無事故・無災害も達成されています。
架設後は、橋桁どうしを接合したり、遮音壁を設置したりする工事が行われました。橋桁の架設はもちろん、そのほかの工事も、「直下の線路にボルト1本でも落としたら大変な影響を及ぼす」(首都高速道路 寺山局長)ため、こうした営業線路上空での工事は非常に気をつかったといいます。
ちなみに、既設の鉄道や道路との交差部は、その上空だけではなく、地下でも同様に、管理者との綿密な調整が求められるといいます。横浜北線の横浜トンネルは、東急東横線や東海道新幹線、横浜市営地下鉄ブルーラインなどの下を通っていますが、トンネルの掘削による地面や地層の変動が大きければ、施工を停止することもあるため、状況をつぶさに事業者と確認しながら工事を進めたそうです。
横浜北線のように、今後も都市部においては、既設の路線や高架橋のさらに上、トンネルや地下構造物のさらに下に新線が建設されることが考えられます。そのたびに工事の技術も進歩していくのでしょう。
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因みに文久2年、生麦事件のあった場所でもある。