墜落した「半世紀前のアメリカの攻撃機」A-10 イラン攻撃に駆り出された、もっともなワケ 高まる“再評価”

アメリカ空軍が完全退役させる方針だったA-10「サンダーボルトII」攻撃機が、イランで新たな活躍を見せています。「再評価」の傾向が日に日に高まっているのは、なぜでしょうか。

ベテラン機A-10、イランで大活躍!?

 アメリカ軍制服組トップのダン・ケイン統合参謀本部議長は2026年3月19日に行われた記者会見で、同国空軍のA-10「サンダーボルトII」攻撃機が、イラン海軍の高速艇の掃討任務に就いていることを明らかにしました。A-10をめぐる“評価”が大きく変わってきています。

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韓国の鳥山空軍基地に配備されていたA-10。2026会計年度にA-10を全機退役させるというアメリカ空軍の方針に則り、2025年にアメリカ本国へ撤収している(竹内 修撮影)

 A-10は、ベトナム戦争の際に地上部隊への火力支援を行える適当な航空機が無かったことから開発された、アメリカ空軍初の「近接航空支援機」です。1976年からアメリカ空軍に配備されています。

 その直線翼を持つ亜音速機のスタイルは、1960~80年代の超音速戦闘機や、1990年代以降主流になったステルス性能を備えた戦闘機に比べれば、野暮ったい印象さえ受けてしまうかもしれません。ベトナム戦争では低空へ降りた際に地対空ミサイルや対空機関砲で撃墜され、多くの戦死者や捕虜を生んでしまった教訓から、A-10は攻撃を受けても撃墜されにくい頑丈さを特徴としています。

 亜音速機であるA-10の飛行速度は高くありませんが、イランの高速艇は“高速”とは言うものの、最大速度が時速30~40ノット(約55.6~70.4km/h)程度、かつ非装甲です。そのような船舶は、A-10にとって格好の標的です。

 イラン海軍の高速艇の保有数は明確ではありませんが、50隻以上を保有しているとの資料もあります。アメリカ軍は開戦劈頭に10隻以上のイラン海軍艦艇を破壊したものの、小型の高速艇は優先攻撃目標にされていなかったようで、まだ多数が残存しているようです。

 今のところイランはペルシャ湾に機雷を散布していないようですが、この高速艇から機雷を散布されたら厄介だと考えられていました。

 A-10には精密誘導爆弾や対戦車ミサイルなども搭載できますが、イラン海軍の高速艇は装甲が薄く、それほど高度な対空兵装も装備されていませんので、低空へ降下して機首に装備されているGAU-8「アベンジャー」30mm7連装機関砲の攻撃を行うだけで“コスパ良く”高速艇を無力化できるとも考えられます。

 このように書くと良いことずくめのように思えるA-10ですが、実のところ退役一歩手前の状況に追い込まれていました。

【これが持ち味!】低空でズドドドやるA-10の「巨大な機関砲」(写真)

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