国際線ビジネスクラス、なぜ「ネカフェ化」した? 全然違う2者が行き着いた“意外すぎる共通点”とは

各国の航空会社がしのぎを削る国際線のビジネスクラス。近年はドア付きの「半個室(セミコンパートメント)」がトレンドですが、この居心地の良さ、街中の「ネットカフェ」のブース席に近しい気がします。なぜ似ているのでしょうか。

限られた空間が導き出した「収れん進化」の面白さ

 対して国際線の飛行機はどうでしょうか。まず口火を切ったのは、最上級のファーストクラスにおける個室化でした。ファーストクラスでは、いち早くフルフラットになるシートが導入されましたが、それが当たり前になってくると、今度はプライバシーの確保という点でサービス向上が図られます。

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ANAボーイング787-9のビジネスクラス「THE ROOM FX」パーテーションを閉めた状態(画像:ANA)

 以前からある、通路に沿ってシートが並ぶというレイアウトでは、長時間のフライトで仮眠をとる場合、寝顔をほかの乗客に見られるというデメリットがありました。これを避けるため、通路や隣の席との間に可動式のパーテーションを設け、個室状態となるシートが誕生します。

 もちろん、乗客に何か異常があったとき、そして緊急事態が発生したときに備え、客室乗務員が様子をうかがえるよう上部が開放されていたり、通路との仕切りがカーテンであったりということがほとんどですが、周囲に邪魔されない空間というのは乗客にとって大きな魅力です。最上級クラスならではの贅沢な空間といえるでしょう。

 こういった、ファーストクラスの贅沢な個室空間というコンセプトが、現在ではビジネスクラスのシートにも導入されるようになっています。しかし数席あれば十分、という桁違いに豪華なファーストクラスに比べ、ビジネスクラスは各航空会社の主力となる席種です。ある程度の席数を作らなくては採算が取れません。

 そこで登場したのが、従来のビジネスクラスと同程度の占有面積で、パーテーションを設けてプライベート感のある個室空間を演出したシートというわけです。パズルのピースをはめ込むように、すべての席が通路に面しつつもパーテーションで区切られ、プライバシー確保に配慮した構造となっています。

 限られた空間で、可能な限り席数を設けながらもプライバシー確保に配慮した構造。ネットカフェも国際線ビジネスクラスも、同じ課題で最良の結果を得ようとしたことで、結果的に似通ったレイアウトになったと言えるでしょう。同じ環境に暮らす生物が環境に適応し、同じような形態に進化する「収れん進化」と同じようなものかもしれません。

 願わくは、この記事を読んでしまったビジネスクラス利用客が、機内でセミコンパートメントのシートを見て「高い金払ったけどネカフェと同じ……」と思ってしまわないよう、各航空会社の皆様には充実したホスピタリティを望みたいところです。

【写真】こりゃ「ネカフェの個室だわ!」各社のビジネスクラスをイッキ見!

Writer:

ゲーム誌の編集を経て独立。航空宇宙、鉄道、ミリタリーを中心としつつ、近代建築、民俗学(宮崎民俗学会員)、アニメの分野でも活動する。2019年にシリーズが終了したレッドブル・エアレースでは公式ガイドブックを担当し、競技面をはじめ機体構造の考察など、造詣の深さにおいては日本屈指。

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