北朝鮮の「ナゾの新型戦車」を娘が操縦!? 金総書記親子が乗る“異様な光景”を世界にアピールする意図は
北朝鮮のメディアが、金正恩総書記の娘とされる金柱愛が新型戦車「天馬20」を操縦する姿を報じました。ウクライナ戦争の教訓が反映されたとみられるこの戦車は、北朝鮮の現代戦に対応しようとする努力を示唆しています。
天馬20も例外ではない「張子の虎」疑惑
北朝鮮が見せる兵器には「張子の虎」疑惑がつきまといます。巨大ミサイルや新型潜水艦なども、その実力については疑問視されてきました。天馬20も例外ではありません。アクティブ防御システムは機能するのか。火器管制装置はどこまで高度なのか。量産体制は整っているのか。詳細はほとんど不明です。
しかし重要なのは、「戦車そのものの性能」ではありません。北朝鮮がウクライナ戦線で「血」を代償に、ドローン戦の実戦経験を蓄積している点です。今回金総書記が視察したという戦車・歩兵合同訓練は、労働新聞によれば「戦車と歩兵が協同して敵防御線を突破する」というものでしたが、ドローンがリアルタイム偵察を実施し、対戦車ミサイル実射、敵ドローン迎撃、戦車と歩兵の突撃という内容と報じられています。金総書記が「『現代戦の発展傾向に合わせて』戦車性能を向上させる必要がある」と述べ、ウクライナ戦で得た「現代戦」の経験が北朝鮮軍にフィードバックされていることが示唆されています。
気になるのが日米韓との対比です。自衛隊、アメリカ軍、韓国軍の戦力は北朝鮮軍を大きく上回るとみられています。しかし注意すべきは「実戦経験」の差です。自衛隊や韓国軍は実際に各種ドローンが頭上を飛び交う戦場経験はありません。
つまり、極端に言えば「実戦経験のないお金持ち軍」VS「貧しいが実戦を学習する軍」という構図が生まれつつあるのです。「実際にドローンが飛び交う戦場を知っているか」が、極めて大きな意味を持つようになっています。2025年にエストニアで行われたNATO演習「ヘッジホッグ2025」で約10名のウクライナ軍ドローン班がNATOの2個大隊を「戦闘不能」にして関係者にショックを与えました。
今回の映像で異様だったのは、金総書記の娘である金柱愛が「天馬20」を操縦し車体上に金総書記自身が乗っていたことです。安全面だけを考えてもこの構図はかなり大胆です。本当に操縦していたのか、車内に補助操縦手がいたのか、あるいは操縦系統そのものが簡略化されているのか、詳細は分かりません。しかし、重要なのは北朝鮮が「その映像を世界に見せた」という事実です。
そこには「戦車はまだ終わっていない」「北朝鮮は新しい戦争に備えている」というメッセージが込められています。天馬20は“張子の虎”かもしれませんが、その背後で北朝鮮がドローン戦争を本気で学習している事実は軽視できないでしょう。
Writer: 月刊PANZER編集部
1975(昭和50)年に創刊した、50年以上の実績を誇る老舗軍事雑誌(http://www.argo-ec.com/)。戦車雑誌として各種戦闘車両の写真・情報ストックを所有し様々な報道機関への提供も行っている。また陸にこだわらず陸海空のあらゆるミリタリー系の資料提供、監修も行っており、玩具やTVアニメ、ゲームなど幅広い分野で実績あり。





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