「図面20万枚を奪取!?」 イスラエル戦闘機「クフィル」誕生からの半生が“衝撃”すぎた件 『エリア88』でおなじみ
漫画『エリア88』にも登場したイスラエル製戦闘機「クフィル」。登場から半世紀が過ぎた現在も近代化改修型が運用されていますが、その誕生の裏には、国際政治に翻弄された結果、スパイ活動によって他国のエンジン図面を入手するという、まるで映画のような秘話がありました。
本家フランスのお膝元で堂々デビュー
こうして生産されたイスラエル製ミラージュ戦闘機が「ネシェル」でした。
最初の機体は1970年に引き渡しが開始されましたが、実戦経験豊富なイスラエル空軍は「ネシェル」のエンジン出力に不満を感じていました。ちょうどその頃、1969年からイスラエル空軍へ引き渡しが始まっていたアメリカ製のF-4E戦闘機が強力なJ79エンジンを二基も搭載していましたから、その差は歴然だったでしょう。ミラージュに搭載されているアター9Cに比べ、アメリカGE製J79エンジンの一基当たりの出力は30%も強かったのです。
そこでイスラエルは「ネシェル」のエンジンをJ79に換装して生産することを決定します。こうして登場したのが「クフィルC1」でした。アター9Cよりも太くて重いJ79エンジンを収容するため、胴体後部は変更され太くなったことに加え、胴体側面や垂直尾翼の付け根部分には冷却空気取り入れ口も新設されました。重心位置を調整するため胴体の長さも変更されています。
この「クフィルC1」をさらに改良するため空気取り入れ口の外側にカナード(先翼)を追加した機体が「クフィルC2」として登場し、これがこのシリーズの決定版になりました。
そして、この「クフィルC2」を生産していたIAI社(イスラエル・エアロスペース・インダストリーズ)は大胆な行動に打って出ます。1977年に開催された第32回パリ航空ショーに「クフィルC2」を出展し地上展示と飛行展示をやってのけたのです。
つまり、ベース機ともいえる、ミラージュ戦闘機の本家フランスのお膝元で、フランス製戦闘機の無許可改良型を堂々と披露して国際武器市場に打って出たということです。
それから約半世紀が経過しました2026年現在でも、イスラエル製戦闘機は運用されています。まだ当分の間、引き続き飛ぶことになりそうです。
Writer: 細谷泰正(航空評論家/元AOPA JAPAN理事)
航空評論家、各国の航空行政、航空機研究が専門。日本オーナーパイロット協会(AOPA-JAPAN)元理事





コメント