増発しないのになぜ? 今どき珍しい地方私鉄で複線化 「要らない」とまで言われた鉄道の復活劇
高松琴平電気鉄道(ことでん)で複線化工事が進んでいます。2000年代以降の地方私鉄では珍しいこの取り組みですが、経営破綻を乗り越え利用者数を回復させた背景には、様々な計画の変遷がありました。
増発しないけど複線にするワケ
琴電は地方私鉄有数の利用者を誇りますが、地方の不況、人口減少、モータリゼーションの影響で減少傾向にありました。1987(昭和62)年に1916万人だった年間輸送人員は、経営破綻前の1997(平成9)年度に約1695万人、2001(平成13)年度は約1388万人へと急激に減少しています。
民事再生法に基づく再生計画は2006(平成18)年に完了し、輸送人員も2005(平成17)年度を底に微増傾向に転じていましたが、経営再建には利用者のさらなる増加が必須です。ここで登場するのが、2010(平成22)年11月に策定された高松市総合都市交通計画です。
計画の一つが「鉄道新駅の設置」です。琴電は地方鉄道としては駅間が長いのが特徴です。三条~太田間は2.3km、太田~仏生山間が1.8km、仏生山~一宮間は2kmあり、都市化する沿線の需要を十分に拾えていませんでした。2006年に仏生山~一宮間に新設された空港通り駅の利用が好調だったことから、前記2区間にも駅設置が検討されます。
一般に複線化は線路容量の増加、つまり増発のために行われますが、琴電の場合、複線区間が高松築港~栗林公園間2.9kmのみだった頃から地方私鉄としては多い15分間隔運転を行っていました。単線区間に2駅を新設しても運行は可能であり、これ以上の増発も必要ありませんでした。
しかし新設駅を交換駅にしたとしてもダイヤの都合上、停車時間が20%近く長くなり、速達性が低下します。その結果、ピーク時に運用を1編成増やす必要があり、予備車両が1編成に減少することから、運行の安定性が低下。また駆け込み乗車などで発車が遅れれば、ダイヤ乱れが全線に波及してしまいます。以上のことから、栗林公園~仏生山間の複線化と新駅設置を一体的に進めることになりました。





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