まるで日本の特急?「動力分散方式」にしか見えない「動力集中方式」の新型車、北米で大ヒットも「寒さに弱い」という課題
ドイツの鉄道車両大手シーメンスが開発した北米向け車両「シーメンス・ベンチャー」がヒットしています。しかし、そのユニークな設計ゆえに、寒冷地では思わぬトラブルも起きているようです。
置き換え前は1946年登場の旧型客車
VIA鉄道の愛好家団体「VIAクラブ日本支部」のメンバーである筆者(大塚圭一郎:共同通信社経済部次長)は2026年5月下旬、VIA鉄道のシーメンス・ベンチャーに乗りました。カナダ最大都市の東部オンタリオ州トロントを8時32分に出発し、首都オタワ行きVIA52号のビジネスクラスでオンタリオ州キングストンへ向かいました。
車体を黄色や黒色で装飾し、カナダらしいメープルリーフの絵をあしらったシーメンス・ベンチャーが走っているのはVIA鉄道の主力区間「ケベックシティー・ウィンザー回廊」です。トロントとオタワ、東部ケベック州の大都市モントリオールをそれぞれ結ぶ列車などが走り、VIA鉄道の年間利用者数のうち9割超を占めています。
VIA鉄道は老朽化した客車列車を置き換えるため32編成のシーメンス・ベンチャーを発注し、2022年11月に営業運転を開始。今は大部分の列車がシーメンス・ベンチャーで運行されています。
機関車1両と客車5両の6両編成で、3両あるエコノミークラスが194席、2両あるビジネスクラスが87席。機関車はカミンズ(アメリカ)の定格最大出力4200馬力の16気筒ディーゼルエンジンで発電し、主電動機(モーター)を動かしています。
運行最高速度は201km/hに達しますが、線路はトロント都市圏を走る「GOトランジット」の列車や、貨物列車などとの共用のためスピーディーに走れる区間は限られます。客室の天井下に掲げた案内表示画面には運転速度を表示していますが、乗車中、200km/hに迫ることはありませんでした。
前後間隔も広々な車内 だが…!
ビジネスクラスの車内は通路を挟んで1列と2列の座席があり、両側に2列ずつあるエコノミークラスよりもゆったりしています。VIA鉄道は「人間工学に基づいて設計された座席により、リラックスして乗車いただけます。体を伸ばせるゆったりした空間で、車窓をお楽しみください」とアピールしています。
筆者の席は2列の窓際で、隣の席との間にあるのは飲み物を置くことができる木目のスペース。スマートフォンなどを充電できる電源コンセントおよびUSB端子も備えています。頭上の荷棚の下部には発光ダイオード(LED)の読書灯があります。足元の前後間隔も広く、テーブルを挟んで座席が向かい合った区画以外にはフットレストも用意しています。
「これだけ前後間隔が広ければ、座席の背もたれを少し下げても大丈夫だろう」と思ってひじ掛けに手を伸ばしました。ところが、想定していなかった事態が待ち受けていました。





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