まるで日本の特急?「動力分散方式」にしか見えない「動力集中方式」の新型車、北米で大ヒットも「寒さに弱い」という課題

ドイツの鉄道車両大手シーメンスが開発した北米向け車両「シーメンス・ベンチャー」がヒットしています。しかし、そのユニークな設計ゆえに、寒冷地では思わぬトラブルも起きているようです。

北米の都市間鉄道が「動力集中方式」のワケ

 先頭部が流線形になったドイツの鉄道車両大手シーメンスの北米向け車両「シーメンス・ベンチャー」が幅広い鉄道事業者に大量納入されるヒット車両となっています。アメリカの全米鉄道旅客公社(アムトラック)、南部フロリダ州のマイアミとオーランド国際空港を結ぶブライトライン、カナダの国営旅客鉄道会社VIA鉄道カナダなどで力走中です。

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VIA鉄道カナダが運行するシーメンス・ベンチャーの列車(大塚圭一郎撮影)

 この列車は、客車のけん引または推進運転に使う機関車「シーメンス・チャージャー」を組み合わせた「動力集中方式」。うち片側の先頭車は機関車となっている一方、反対側の先頭車は運転台のある乗務員室を備えた客車です。

 したがって客車を備えた先頭車の外見は、日本で一般的な「動力分散方式」(列車の編成に多くの動力車両を組み込む方式)のように映ります。機関車を編成の中にうまく溶け込ませた“産物”とも言えますが、このようなユニークな設計ゆえに寒冷地では思わぬトラブルも起きています。

 日本は動力分散方式が主力なのに対し、なぜ北米の都市間鉄道は動力集中方式を採用しているのでしょうか。背景には、踏切での衝突事故が多く発生していることを受け、アメリカの連邦鉄道局(FRA)が列車の衝突安全管理(CEM)採用を義務づけていることがあります。

 CEMとは、自動車と衝突した場合に列車の先頭車がつぶれることで衝撃を吸収し、乗客と乗員の命が守られることを目指しています。

 シーメンス・ベンチャーの先頭車も、衝突した場合に先頭部の連結器が後退することでエネルギーを吸収するとともに、先頭部の衝撃吸収ゾーンがつぶれることで乗務員室や客室への衝撃を逃がします。

【だから日本の特急っぽい】これが「機関車じゃないほうの先頭車」です(写真)

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