地上で戦う空軍兵士!? 戦場の空を地上から支える「スペシャリスト集団」 実は “脱落率9割” の超難関
戦闘機や爆撃機の華々し活躍が目立つアメリカ空軍には、実は地上に降り立ち、最前線を自らの足で駆ける隊員たちがいます。彼らはいったい何モノなのでしょうか?
グリーンベレーやSEALsに匹敵する空軍版特殊部隊
空軍特殊作戦において、敵情を把握するための「目」や「耳」となるのが「特殊偵察隊員(Special Reconnaissance Airmen:SR)」です。敵部隊の動向やレーダー配置、気象、電磁波などを秘密裏に情報収集し、航空作戦に必要な情報をリアルタイムで提供します。衛星や無人機だけでは得られない情報を、人間が現場で直接収集するからこそ、その価値は極めて高いものとなります。
そして、陸軍などの地上部隊とともに行動し、戦闘機や攻撃機による近接航空支援を統制する専門家が「戦術航空管制班(Tactical Air Control Party:TACP)」です。敵と味方が入り乱れる最前線では、爆撃位置がわずかにずれるだけでも味方を危険にさらしかねません。TACPは正確な目標情報を航空機へ伝達し、航空火力を最も効果的かつ安全に運用する重要な役割を担っています。
これらの特殊戦術隊員になるための道は極めて険しく、養成課程では志願者の8~9割が途中で脱落するとされています。過酷な体力試験だけではなく、水中訓練、長距離行軍、降下訓練、戦術射撃、語学、医療、通信、航空管制など、幅広い技能を長期間にわたって修得しなければならないからです。求められるのは単なる身体能力ではなく、極限状態でも冷静な判断を下せる精神力と、多様な専門技能を統合できる知性でもあります。
陸軍にはグリーンベレー、海軍にはSEALsという著名な特殊部隊があります。それに対し、アメリカ空軍の特殊戦術部隊こそが、まさに「空軍版特殊部隊」と呼ぶべき存在なのです。彼らは航空戦力を成立させるための基盤を築く専門家集団です。航空優勢を支えるのは空を飛ぶ戦闘機だけではありません。地上から航空機を導き、負傷者を救い、情報を集め、精密攻撃を成功へ導く彼らの存在があってこそ、アメリカ空軍は世界最強の航空戦力として機能しているのです。
Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)
1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。





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