空気の圧で道路封鎖? ゲリラ豪雨の冠水対策に効果、「エアー遮断機」のメリットとは

「こちらに逃げろ」 道路封鎖以外の用途も

「エアー遮断機」は先述の都城市に設置されたセンサー感応式のほか、遠隔操作で任意に膨らませることが可能なタイプもあるそうです。製造元である道路保安用品メーカーのアドビック(兵庫県尼崎市)にも話を聞きました。

――「エアー遮断機」はいつから発売しているのでしょうか?

 2009(平成21)年から発売し、2017年6月現在で120件以上納入しています。

――そもそも、どのようなコンセプトで開発されたのでしょうか?

 ある道路管理者さんから、「安全かつ迅速に、目立つ形で」道路封鎖ができるよう、エアー式で遮断機がつくれないかと相談をいただいたことがきっかけです。当社製品にエアー式の巨大なカラーコーン「エアージャンボコーン」があり、エアー遮断機はこの製品の実績をもとに開発されました。エアー式の視認性は従来のゲート式などと同等以上で、豪雨や強風などにも耐えられる、といった特徴があります。

――商品に対するニーズや、導入するメリットはどのようなところでしょうか?

 現場に人がいなくても迅速に、かつ安心して道路を封鎖できることです。エアー式以外でも遠隔操作で動作する遮断機がありますが、それでクルマに損害を与えてしまったり、クルマがその区間に閉じ込められたりすることも考えられます。エアー式であれば損害を抑えられ、閉じ込められても脱出が容易で、緊急車両の通行も可能です。

――どのような場所に設置されることが多いでしょうか?

 主として冠水による通行止めを想定したアンダーパスの入口です。そのほか、高速道路の出入り口や、沿岸部あるいは山間部の道路のほか、たとえば津波発生時の避難誘導のため、「こちらに逃げろ」といった旨の文言を遮断機に表示する目的で採用いただいたところもあります。

――今後、どのような展開を予定しているのでしょうか?

 現在、持ち運んだり軽トラックに積み込んだりして使用できるエアー遮断機なども開発中です。これは、土砂崩れなどが起きた場合に、遮断機を移動させることで規制区間を必要最小限にできるメリットがあります。

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「エアー遮断機」はふだん、道路わきの箱に収納されている(画像:アドビック)。

※ ※ ※

 アドビックは、エアー遮断機を「単に道路の交通規制だけでなく、幅広い用途で減災に役立てられる」と話します。今後、道路のさまざまな場所で見られるようになるかもしれません。

【了】

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コメント

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2件のコメント

  1. これが水を遮断するわけじゃないのね?誤作動は大丈夫かな?車のエアバックの例もあるし、

  2. なんだ、道路を隙間なく塞いで水が入らないようにするんじゃないのか
    冠水対策というよりは誤進入対策だね