飛べる零戦、国内保存は茨道? ネックは資金、状況は「危機的」 共同所有も視野に
「国内動態保存」に向け、共同所有も視野に
今後、飛べる零戦を維持するためにネックとなる要素は、ほぼ資金面に集約されています。
「この零戦を海外へ売却しなければならない場合、最低2年は日本に置いて飛行展示を行ってくれという条件をつけるつもりですが、もし零戦を購入した人から『日本人が買わないから俺が買ったんだ。アメリカなり海外に持ち出すのは俺の自由だ』と言われればそれまでです。そして今後、零戦を国内で動態保存するチャンスはなくなってしまいます。そうはしないためにも、飛行展示のためのイベント企画に興味のある団体、また零戦の10%ないし20%でも私と共同所有していただける方がおられるようでしたら、ぜひゼロエンタープライズ・ジャパンに連絡をください」(石塚さん)
零戦を日本に持ち込むにあたり、石塚さんはこれまでに10億円以上を投資したそうです。このためニュージーランドに所有していた家や牧場などもことごとく処分しなくてはなりませんでしたが、「少しも後悔していない」といいます。
「零戦は戦争などネガティブな側面があることは確かです。いろんな人のいろんな考えがあっていいんですけれども、戦争したのは飛行機ではなく人間です。私はこの飛べる零戦を政治とは完全に切り離して、戦前の航空技術における『遺産』としてなんとか日本で維持したい、そのつもりで日本へ持ち込みました」
石塚さんはまた、零戦が「レッドブルエアレース」での飛行展示を終え竜ケ崎飛行場から南紀白浜空港へ移動するとき、「随伴機から富士山をバックに飛ぶ零戦を見ることができたんですが、すばらしい光景でした。私はアメリカで飛行可能な旧陸軍の『隼』『飛燕』の復元も手伝っているのですが、予定通りなら2~3年で完成します。もし零戦の動態保存が軌道になったならば、いずれ『隼』、『飛燕』と編隊を組んで富士山の横を飛べたらいいなと思っています」といい、「こんなことをいうと皆さんに怒られるのですが」と笑いました。
【了】
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