乗用車の「前列3人掛け」は消えるのか ベンチシートはタクシーでもレア化?(写真10枚)

あえて前に3人乗せなくても… ベンチシートはいま

 大型トラックや軽トラック、バスなどでは、運転席の横にふたり掛けというのは珍しくありませんし、たとえばトヨタ「ハイエース バン」の一部には前列3席の設定がりますが、確かにセダンやミニバン、SUVなどの一般的な乗用車において2017年現在、そうしたものはあまり見られません。トヨタが今後発売を予定している新型タクシー専用モデル「JPN TAXI」も、前列は独立の2席です。

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前列3席、後列3席の6人乗りモデルとして1998年に登場したフィアット「ムルティプラ」(画像:Fiat Chrysler Automobiles)。

 少し過去にさかのぼり、前列3席、後列3席というレイアウトに絞って一般乗用車を調べてみると、日産「ティーノ」(販売期間:1998~2003年)やホンダ「エディックス」(同:2004~2009年)、トヨタ「ビスタアルデオ」(同:1998年~2003年)、「プロナード」(同:2000年~2004年)、フィアット「ムルティプラ」(同:1998~2010年)などがありましたが、いずれも販売を終了しています。また、「エディックス」と「ムルティプラ」は前列3席ではありますが、それぞれが独立したシートであり「ベンチシート」とはいえません。

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日産「ティーノ」。後期のモデルでは前列ベンチシートは廃止された(画像:日産)。
ホンダ「エディックス」。2004年から2009年まで販売された(画像:ホンダ)。
「エディックス」は前列、後列ともに3席ずつ独立(画像:ホンダ)。

 前列がベンチシートのクルマはコラムシフト(ハンドルの付け根から伸びるタイプのシフトレバー)である場合が多かったことから、このようなクルマは略して「ベンコラ」とも呼ばれます。「ベンコラ」の中古車を多く取り扱う名古屋オートガレージ(愛知県大府市)によると、「横幅が広いアメリカのクルマに多かったのですが、日本車の規格では窮屈になるので、あまり根付かなかったのでしょう」と話します。現在では、アメリカ車でも前列ベンチシートは少なくなっているそうです。

 ちなみに、「前列ベンチシート」そのものは、軽自動車を中心にいまも見られます。「ムーヴ」「ウェイク」などで、ふたり掛け前列ベンチシートを採用しているダイハツによると、「ゆったりと座れて、横移動もしやすく使い勝手がよいといったメリットがあります。こうした車両ではパーキングブレーキもフットブレーキで、シフトレバーもインストゥルメンタルパネルから伸びる『インパネシフト』になっています」とのことです。

【了】

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コメント

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2件のコメント

  1. アバロンなんてコラムありましたね、3000V6の太いトルク、TRCがあったか忘れましたが、すぐにホイルスピンしましたよ、ベンチシート懐かしいな

  2. 前列3人掛けでなくても、左右どちらからでも乗り降りできるという利点もあった。1980年代頃にはトヨタのクラウンや日産のセドリック、グロリアにはラウンジシ-トと言う名前で、3人掛け可能な程のベンチシ-トを真ん中で分割した2人掛けシ-トがあった。左右で独立してシ-ト調整が出来るが、真ん中にコンソ-ルボックスがないので左右どちらからでも乗り降りで来た。当然、コラムシフトになる。これなんか復活してもらいたいと思う。米国車ではGMなどには40:60セパレ-トシ-トというのもあり、これは左右独立調整が出来るが前3人乗りだった。トヨタの対米専用車アバロンにも付いていたような記憶があり、日本でも販売された記憶がある。