ヤマハ発動機とペーパークラフト、20年の歴史とは あの超絶クオリティが無料のワケ

発想は「触れる」ウェブコンテンツ

――どのような経緯で「ペーパークラフト」の配信を始めたのでしょうか?

 弊社がウェブサイトを開設した1997(平成9)年の秋、「第32回東京モーターショー」が行われました。そのときのウェブコンテンツ「The 32nd Tokyo Motor Show Special Site」内のいちコーナーとして「VMAX」のペーパークラフトダウンロードを企画したのが最初です。

――20年続けている理由や目的はなんでしょうか?

 手前味噌になりますが、最初のモデル(「VMAX」)が好評を頂いたからだと思います。まさか20年も続くとはその当時は思ってもいなかったでしょうが、弊社企業サイトのなかでも当時から人気コンテンツとなり、バイクのことは知らなくても、「ペーパークラフトが掲載されているウェブサイト」という認知もされ始めてきていました。ペーパークラフトを見たついでに、製品情報などにも触れて頂けるきっかけにもなると思い、現在も継続しています。

――そもそも、なぜペーパークラフトだったのでしょうか?

 ウェブサイトが一般的に普及し出してから、文字を「読む」、音を「聴く」、写真や映像を「観る」ということは実現できていますが、手に取って「触る」というのはありませんでした。弊社は「モノ創り」の会社ですので、実際の商品だけでなく、ウェブサイトを通してモノに触れた時の感動を提供できるひとつの方法として、ペーパークラフトをスタートさせました。

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1997年に配信された「VMAX」のパーツシート。PDFデータで16ページ、840KBあり、当時の通信環境では重い部類(乗りものニュース編集部撮影)。

 このコンテンツを開始した1997年頃は、ネット接続はISDNが一般的だった頃だと思います。通信速度が64kbpsなので、理論値にはなりますが、「VMAX」のパーツシートのPDF(840KB)をダウンロードするだけでも、100秒以上かかっていた計算になります。当時は、少しでもファイル容量を小さくするような知恵を絞っていたはずです。

 最近はそんな心配をすることはありませんが、データ制作という部分には気をつけています。世の中には、かなりレベルの高いペーパークラフトを提供されているウェブサイトが多くあります。弊社はモノ創りの会社ですので、自社製品をモチーフにしたクラフトを作る以上、お客様の期待を裏切らない、むしろそれを超えるクオリティのクラフトを提供したいと考えており、その為にデザイナーさんとの事前ミーティングや、素材収集、プロト機を実際に見ながらの進捗確認はしっかりと行っています。

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