ヤマハ発動機とペーパークラフト、20年の歴史とは あの超絶クオリティが無料のワケ

その精密さになかの人も断念?

――クオリティといえば、「超精密モデル」やジオラマつきのものなど、良い意味で正気の沙汰とは思えません。

「ジオラマつきのもの」というのは、恐らく「モータースポーツワールド」のことかと思いますが、「パーツ数」という事ですと、2014年に公開した『モータースポーツワールド:ラリー』が1300超で群を抜いてます。

 背景のジオラマ部分まで含んでの数ですが、パーツシートだけでも246枚。組立説明書も139枚あります。用紙は全てA4サイズです。B4やA3サイズのプリンターは、まだ一般のご家庭には普及してないと思いますので、あくまでも「誰でも気軽に」楽しんで頂く為にA4に限定しています。

――385枚というのは、すみません、想像以上でした。その実現の経緯や、担当部署の方はどのようにお考えか、といったところをお聞かせください。

 このペーパークラフトを始めた当時は、より多くの方々に楽しんで頂こうと思い、様々なモチーフをクラフト化してきました。弊社の製品ばかりだと、敷居が高くなってしまうからです。最近では、「『超』精密シリーズ」を当たり前のようにリリースしていますが、1997年当時は「精密」の「VMAX」ですらかなり高難度でした。私も挑戦したことがあるのですが、最初に組み立てたタイヤがどうしても丸くならずに断念した記憶があります。

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「ペーパークラフトを担当して12年。精密や超精密シリーズはできる気がしません…これくらいが限界です」と三宅さん(画像:ヤマハ発動機)。

 そののち、「より多くの方々に、ヤマハ発動機を知っていただくためのきっかけ」にするために、お子様でも楽しめるような季節の風景や動物をラインナップに加えました。当時は、そのようなペーパークラフトを提供するウェブサイトがあまり多くなかったようで、こちらも人気が高かったようです。

 ただ、数年すると、そういったウェブサイトが世の中に多くでき始め、差別化を図るためにも「ヤマハ発動機だから提供出来る、クオリティの高いクラフト」を目指すようになりました。毎年、次期モデルを企画する時は、担当者(私)、デザイナーさん、ウェブサイト制作会社の三者が、それぞれにアイディアを持ち寄って議論する所からスタートします。

「モータースポーツワールド」は、確かデザイナーさんからの提案がベースになっていたハズです。そこに、色んな意見を足したり引いたりして、具体的な形にしていきました。自分がデザインしているわけではありませんが、アイディアが形になっていくのを目の当りにすることができるのは、とても楽しいですよ。特にプロト機を見た時などは、「まだ誰も見たことがないクラフトが、自分の目の前にある!!」とテンションが上がります。

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