巨大な自動車専用船、どう動かす? 日本郵船「アリエス・リーダー」、その操船と動力(写真21枚)

軽自動車300台ぶんの最大出力!

 船を動かすもう一方は「動力」、すなわちエンジンです。「アリエス・リーダー」のエンジンは三井-MAN B&W製のディーゼルで、最大出力は1万3750kwにもなります。秦 眞三(はたしんぞう)船長いわく、同クラスの外航船(外洋をわたる船)としては小ぶりでカワイイほうとのことですが、高さにしてビル2~3階ぶんはあります。「排気量は?」と質問したところ、「アリエス・リーダー」一等機関士の降籏(ふるはた)靖幸さんは、この種のエンジンで排気量が問われたことはほとんどなかったとしつつ、おおよその概算ではあるものの「最大出力でいうと軽自動車300台ぶんくらいでしょうか」といいます。文字通りケタ違いのスケールです。

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「アリエス・リーダー」の心臓部、三井-MAN B&W製ディーゼルエンジン。
機関室で説明にあたる、降籏靖幸 一等機関士。
中央が「アリエス・リーダー」のメインシャフト。普段は床下に。

 エンジンのある機関室には、ほかにも発電機やボイラー、バラスト水のポンプなどが並び、夏場は摂氏47~48度にもなるそうです。まさに過酷な職場ですが、女性の二等機関士もひとり詰めているとのことで、「まだ若いんですが、オイルまみれで真っ黒になりながら働いていますよ」(秦船長)といいます。

 ちなみにエンジンの制御は、始動から暖気、出帆までを機関室で行い、そこから先はブリッジに渡すのだそうです。

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秦 眞三船長は「船長の仕事」について「神棚の榊の水をかえることと、厨士長に料理の味を教えることだけ」と笑う(2017年12月17日、乗りものニュース編集部撮影)。

「アリエス・リーダー」は12月17日15時に横浜港を出港、名古屋で荷を積んだのち、日本を離れます。最終目的地はサウジアラビアのジェッダとのことで、2018年のお正月はマラッカ海峡のあたりで迎えることになるといいます。

【了】

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コメント

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6件のコメント

  1. ほんでも200m以下か、これ超すと車みたいに税金とか港湾使用料でも上がるんか?

  2. 200m超の場合は巨大船として扱われ、航行時や停泊時に制限がかかります(例えば
    特に指定された航路の運航や特定時間の運航制限、あるいは資格のある水先案内人の乗船義務など)

  3. 仙台港のフェリーは必ずタグが引いて出港するのは港が狭いせいなんかな?それにしても3、11の緊急出港と津波を乗り越えたフェリーの凄技にはぶったまげたし、あれ遅れたら港で横転してたかもね?この運搬船も最後は人の手で、と言うあたりに難しさが見てとれます。

  4. 航海士って必要あるのか?
    沖までは水先人が乗ってるし、その後は
    船もあまりいないだろうし。
    船長なんて部屋でゴロゴロしてるだけだろw

    機関士さん、ご苦労様です。

    • ・・・・・・沖合いに出れば船があまりいないってね・・・そういうふうに油断しているから、古今東西素人なら考え付かないような洋上での衝突事故が起こるんだって。ついでに水先案内人ですら不適切な案内をすることもあるし(大昔、鶴見運河で実際ありました)。船長は船長で書類仕事やら陸上との交渉やら航路の微調整(天象気象はもちろん、場合によっては政治的な理由で航路をずらす、と)しなければならないし。機関長の重要さはわかるけど、何かそのコメントは少し違う気もする。

    • 知り合いの外航船航海士は

      内航船: 航海士大変
      外航船: 超暇

      と言ってました。
      間違ってないと思う。