東急田園都市線「地下区間」 運行トラブル防止へ、点検作業こう変わる!(写真16枚)
点検は「メリハリ」つける そして新型車両も
そこで東急電鉄は、「地下区間という設備環境」に応じた点検方法を導入することにしました。具体的には、目視点検に加えて触手点検も追加。点検頻度も見直し、き電ケーブルと高圧配電ケーブルの精密点検は5年に1回だったのを2年に1回へ変更しました。これによりトラブルを未然に防止する体制を強化したといいます。
くわえてトラブルが発生した場合でも、早期の復旧を図れる体制に変えました。
地下区間で電気関係のトラブルが発生した場合、以前は二子玉川信通区と鷺沼電力区に宿泊している作業員が現場に向かっていました。しかし、二子玉川と鷺沼は地下区間から離れており、道路渋滞に巻き込まれて現場への到着が遅くなるなどの問題がありました。
そこで2017年12月からは、地下区間の沿線に作業員を分散して宿泊させ、現場への到着時間を短縮する体制を構築。また、2017年度末には技術部門を中心とした現場事務所が、地下区間の沿線に設置される予定です。東急電鉄はこれにより、地下エリアを中心にきめ細やかな保守、運営体制を確立するとしています。
ちなみに、田園都市線では16年ぶりとなる新型車両の2020系電車が、2018年春にデビューする予定です。この車両は機器の状態を常に監視する「大容量情報管理装置」を採用。車両についても故障の未然防止を図り、運行の安定化を目指すことになっています。
東急電鉄は田園都市線のほかにも目黒線などに地下区間を抱えていますが、今回の新しい点検体制は田園都市線の地下区間のみでの導入。東急電鉄電気部の伊藤篤志統括部長は「田園都市線の地下区間は(開業から)“40年選手”。建設が比較的新しい地下区間とは施設の状況が異なります。施設の年数に応じて(点検の体制に)メリハリをつけていきたいです」と話しています。
【了】
Writer: 草町義和(鉄道ニュースサイト記者)
鉄道誌の編集やウェブサイト制作業を経て鉄道ライターに。2020年から鉄道ニュースサイト『鉄道プレスネット』所属記者。おもな研究分野は廃線や未成線、鉄道新線の建設や路線計画。鉄道誌『鉄道ジャーナル』(成美堂出版)などに寄稿。おもな著書に『鉄道計画は変わる。』(交通新聞社)など。
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