軽量化実現の新型新幹線N700S、なぜそれで乗客が便利になるのか? JR東海の大きな狙いも

N700Aに続く東海道・山陽新幹線の次世代新型車両「N700S」。車両の軽量化や装置類の小型化に力点を置いて開発されましたが、なぜ軽量化や小型化に力を入れたのでしょうか。そこには「余裕」から生まれる利便性の向上と、「東海道・山陽」のエリアにとどまらないJR東海の狙いがあります。

1編成の重さが700tを切る!

 JR東海は2018年3月20日(火)から、N700Aに続く東海道・山陽新幹線の次世代新型車両「N700S」の走行試験を始めました。

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このほど走行試験が始まったN700Sの確認試験車(2018年3月10日、草町義和撮影)。

 走行試験で使われているN700Sは「確認試験車」と呼ばれる16両×1編成。今後、さまざまな試験や検証を行った上で、2020年度には営業運転で使用する量産車が導入される見込みです。順調にいけば、2〜3年後には乗れることになりそうです。

 ところで、JR東海が公表している資料によると、N700Sは車両の軽量化や装置類の小型化に力を入れた車両であることがうかがえます。

 たとえば、架線から電気を取り入れるパンタグラフの場合、パンタグラフを支える部品(支持部)をひとつ減らして2本にし、N700Aに比べ約50kgの軽量化を実現したといいます。台車フレームの構造も見直し、補強用の部品や溶接が必要な場所を削減。台車ひとつあたりで約75kgの軽量化を図っています。

 電車の心臓部といえるモーターも改良されました。電磁石を小さくしつつ従来の4極から6極に増やし、これにより従来と同じ出力を確保しながら小型化。70kgの軽量化を図りました。

 このほか、架線から取り入れた電気を扱いやすい電圧に下げる変圧器や、搭載しているモーターに適した電気に変換する装置(コンバーター・インバーター=CI)も小型化、軽量化されました。モーターとこれら装置を含む駆動システム全体では、20%軽量化したといいます。

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N700SのパンタグラフはN700Aに比べ約50kg軽量化された。
モーターも軽量化と小型化が図られている。
N700SのCI(右)はN700AのCI(左)よりかなり小さくなった。

 JR東海は各種装置の軽量化により、N700Sの重量(16両編成の合計)を700t以下にする計画です。同社が主体となって開発した新幹線の車両としては、初めて600t台に収まります。

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コメント

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6件のコメント

  1. 軽量化するなら台車はやっちゃダメだと聞いた事がある。
    京急は高速化の為、台車を軽量化すると危険だから車体をアルミにしたらしい。
    台車は重くするか、東武みたいに軽くても高性能な台車にした方が良いそうです。

  2. いずれは車種統一の為に、山陽九州直通もN700Sのバリエーションになるんだろうな

  3. 12両や8両にする理由は将来リニアが出来たり、人口減少による現在の東海道新幹線の乗客数減少に対応する目的とも聞いたかが。

  4. >線路の近くに住んでいる人たちに可能な限り迷惑をかけないようにすることができます
    じゃあ全席にコンセントつけずにもっと軽くしたほうがいいじゃない…

    • コンセントつけてもほとんど重量増・騒音増になならないのでは。
      あくまでういた電力による電力余裕をコンセントに回しているだけで、これはほとんど騒音増にはつながらない。

  5. 突飛だが被災した在来線を新幹線に造りかえたり路線自体を伸ばすのもあり。その際に活躍するのが4両編成程度の列車。N700Sが短編成から長編成様々な編成で活躍する事に期待します!