陸自LM-1はどこへ消えたのか 自衛隊最大のミステリー、「自衛隊機乗り逃げ事件」

飛び立ったLM-1はどこへ向かったのか?

 しかしK三曹は前述したように整備士であり、操縦士ではありません。整備士も修理後の点検飛行などで機に同乗することはありますが、その経験についても当該機のLM-1で2時間10分、ヘリコプターでも4時間35分の、合計6時間45分しかなかったのです。そのため各種スイッチやラダー、スロットルなどの操作方法を知っていたとしても、単独で夜間飛行できただけで奇跡的であり、最も難しいとされる夜間着陸は未経験ですからまず無理です。K三曹は操縦学生の試験を受けていたようですが、仮に酒酔い状態で操縦していたとすると、市街地などに墜落して二次被害が出なかっただけでも奇跡といえるでしょう。

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北宇都宮駐屯地はヘリコプターの飛行展示チーム「ブルーホーネット」のホームとしても知られる(柘植優介撮影)。

 しかも、少なくとも陸地に墜落、不時着すれば存在はすぐさま暴露するため、予想としては海まで飛行し、洋上で燃料が尽きて着水し、そのまま沈んだと考えるのが自然です。とはいえ、船舶の往来の激しい東京湾であれば、確実に着水したところを航行中の船に見られるでしょうし、日本海の場合は越後や木曽といった山脈を越える際に高度を上げねばならず、そうすると瞬時に前述の空自のレーダーサイトなどで捕捉されるため、飛行ルートを悟られずに飛び続けることは難しいです。

 そう考えていくと一番近い茨城県沖の太平洋に飛んで行ったと推測されるのですが、結局誰も見ていないため真相は藪の中であり、自衛隊最大のミステリーとしていまも語り継がれているのです。

 K三曹はどうなってしまったのでしょうね。他国に亡命したのか、はたまた時空の歪みに落ちたのか、それとも異星人にさらわれてしまったのか……2013年には、このLM-1事件の詳細が書かれた小栗新之助さんの著書『自衛隊青春日記』(共栄書房)が出版されていますが、それでも、そもそもK三曹がLM-1に乗ったとは断言できません。案外、機体は別人が乗り逃げして、当の本人は名前を変えて貴方のすぐそばで暮しているかもしれませんね。

【了】

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コメント

4件のコメント

  1. 日本海を航行中のソヴィエトの空母に着艦したんだよ。

    …気分はもう戦争の元ネタの一つらしいが。

    しかし、結びの一文がなんだか怖いぞ。

  2. K三曹が行方不明になっていることから彼が関係しているのは間違いなさそうだが、彼の操縦能力を云々する以前に、彼が操縦したとは限らない。
    他者が操縦し、K三曹は同乗した可能性の方が高いのでは?

  3. 隣国のどれかに帰ったんでしょ?

  4. アメリカの中古機売買のサイトでLM-1が売りに出てますが、まさかこの機体ではないですよね?