新幹線の窓はこう変わった! サービスと効率を反映してきたその大きさ(写真10枚)

サービスは車窓展望からスピードへ

 ところが、車窓展望重視の流れは長続きしませんでした。JRグループが発足すると、東海道新幹線を引き継いだJR東海は、後に「のぞみ」となる次世代車両の開発に着手。これ以降、速度向上のため車体の軽量化と剛性強化を追求するようになります。車体が軽ければ少ない電力で速度を向上でき、線路など施設への負担も少なくなります。速度が上がれば振動や空気抵抗が大きくなり、車体の剛性を強化する必要があるというわけです。一方で、壊れやすく重いガラスは、速度向上の足かせとなりました。

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大型の窓を備え、窓側の席に座ると視界いっぱいに車窓風景が広がった300系(栗原 景撮影)。
やや小型化したものの、リクライニングした状態でも外を眺めやすい700系の窓(栗原 景撮影)。
小型化が進んだN700系の窓。新型のN700Sは窓周りのデザインが変わるものの大きさは同じとなる予定(栗原 景撮影)。

 1992(平成4)年、初代「のぞみ」こと300系電車が登場。この車両から、客席窓は再び1列ごとの小窓に戻ります。ただ、この頃はまだ、窓はできる限り大きくというコンセプトが生きていたようです。窓幅は0系2000番台を上回る780mmを確保し、高さも660mm。窓際の座席に座ると、富士山が実によく見えました。

 しかし、1999(平成11)年に登場した700系では、幅700mmに縮小します。さらに2007(平成19)年登場のN700系では幅500mm、高さ520mmにまで小さくなり、とうとう縦長の窓になってしまいました。窓を減らし、窓間のアルミニウム合金を太くすることで、軽量化と剛性強化を図っているのです。窓の材質も、それまでのガラスからプラスチックの一種であるポリカーボネート樹脂に変更し、軽量化しています。こうした傾向は、サービスの重点が国鉄時代の「車窓展望の良さ」から、「速く、便利で効率的な輸送」にシフトした結果といえるでしょう。なお、グリーン車の窓は若干大きくなっています。

 同じような傾向は、JR東日本の新幹線にも見られます。2002(平成14)年の東北新幹線八戸開業に際して登場したE2系1000番台は、眺望確保のために2列ごとの広窓を採用。しかし、その後登場したE5系やE7系は、いずれも小窓に戻っています。E5系やE7系の窓は、幅が約560mmあるためN700系よりも大きく見えますが、高さは約470mmと逆に小さく、窓面積はN700系とほぼ同じ。グリーン車やグランクラスも普通車と同じサイズです。

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コメント

4件のコメント

  1. N700系の窓の小ささは明らかにサービス精神が不足している。ていうか旅行者の景観権を根底から無視しているとしか思えない。
    とくに新幹線は海外からのインバウンド客も多い路線なのに、ライバルの中国高速鉄道と較べて車窓の楽しみがあからさまに見劣りするようでは将来への禍根とすらなり得る。日本人として恥ずかしいレベル。
    昨今の新幹線デザイナーは自分の立ち位置を見失っているのではないかと心配だ。

  2. ローカル線ならまだしも高架とトンネルだらけの新幹線で立派な眺望などそのその期待できないし窓の大きさなどどうでもいいな。

  3. 窓といえばやっぱり栗原さんですね

  4. 車窓展望はともかく、ICEのように窓が大きいと視覚的な圧迫感というか閉塞感が少ないのは確か。
    N700系などシートピッチ1040mmに対して窓幅500mmとなると、窓際の座席しか窓の恩恵を受けない。いっそ窓を座席の真横ではなく列の間に(客室端にも窓を配置して窓数=座席列数+1で)配置したほうが良いのではないかと思えてくる。