徹底解説! 東武鉄道のローカル列車用改造車「20400型」(写真84枚)

ワンマン運転にも対応

 車内も基本的な構造は変わっておらず、全席ロングシートでトイレはありません。ただし、70000系のデザインをベースにリニューアルしており、座席の表地は70000系と同じものを採用。座席両端には大型の袖仕切りを設けました。車椅子などの利用に対応したフリースペースは中間車2両に設けられています。

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20400型の車内。改造前と同じ全席ロングシートだが、70000系にあわせたデザインでリニューアルされた(2018年7月、伊藤真悟撮影)。

 このほか、液晶ディスプレイを使った車内案内装置や自動案内放送装置も設置。さらにドアごとに「個別ドア開閉ボタン」を設置しました。これにより、駅では乗客自身がドアを開け閉めできるようになります。東武の車両に個別ドア開閉ボタンが設置されるのは、これが初めてです。

 なお、定員は編成のタイプにより変わり、1編成の定員は20410型と20420型が501人、20430型と20440型が500人です。

 台車やモーター、制御装置、補助電源装置などは、改造元の車両の装置をほぼそのまま流用しています。このため、補助電源装置は20410型と20420型がIGBT-SIV、20430型と20440型がGTO-SIVというように、編成によって変わることになります。電動空気圧縮機は先頭車2両に設置されました。

 乗務員向けの設備は、車掌が乗らずに運転士がひとりだけ乗務する「ワンマン運転」に対応しました。運転台のデスクを更新したほか、ツーハンドルをL型ワンハンドルマスコンに変更。新型の車両情報制御装置「Synaptra(シナプトラ)」を搭載しました。

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液晶ディスプレイの車内案内装置(2018年7月、伊藤真悟撮影)。
東武の車両としては初めて導入されたドアボタン(2018年7月、伊藤真悟撮影)。
運転台にはSynaptraの新型モニターが設置されるなどの変更が見られる(2018年7月、伊藤真悟撮影)。

 東武鉄道は2018年度中に20400型を6編成完成させる計画を立てており、このうち20410型1編成と20420型2編成がすでに完成しています。営業運転の開始は2018年9月の予定。東武日光線の南栗橋以北と東武宇都宮線で運用されます。

【了】

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Writer: 草町義和(鉄道ニュースサイト記者)

鉄道誌の編集やウェブサイト制作業を経て鉄道ライターに。2020年から鉄道ニュースサイト『鉄道プレスネット』所属記者。おもな研究分野は廃線や未成線、鉄道新線の建設や路線計画。鉄道誌『鉄道ジャーナル』(成美堂出版)などに寄稿。おもな著書に『鉄道計画は変わる。』(交通新聞社)など。

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