「熊本空港アクセス鉄道」実現か? 一度は「断念」された構想が再浮上したワケ

阿蘇方面や南阿蘇鉄道からも直通列車?

 2004(平成16)~2008(平成20)年に検討された案では、豊肥本線の三里木駅で分岐。熊本県民総合運動公園を経由して空港まで延伸する全長9.8kmのルートが想定されていました。このルートを踏襲するのか、あるいは全く別のルートになるのかが焦点になりそうです。おそらくは熊本県などが出資する第三セクターが建設し、JR九州が第三セクターから線路を借りて列車を運行することになるでしょう。

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熊本空港のターミナルビル。ここに「熊本空港駅」が設けられることはあるのだろうか(2016年11月、草町義和撮影)。

 過去の検討案のまま建設された場合、分岐線が接続する三里木駅は豊肥本線の電化区間内(熊本~肥後大津間)ですから、熊本駅と熊本空港を直通する普通列車が走るでしょう。ただ、豊肥本線は全ての区間が単線。時間帯によっては列車の増発が難しいため、肥後大津行きと熊本空港行きの列車が三里木駅まで連結して走るかもしれません。

 熊本~熊本空港間の所要時間は、各駅に停車する普通列車の場合で30分台後半から40分台になるでしょうか。途中の主要駅のみ停車する快速列車なら、もう少し短くなる可能性もあります。現在運行されているリムジンバスの所要時間は熊本駅前~熊本空港間が約1時間ですから、10~20分くらいは短縮されると思われます。

 ちなみに、豊肥本線・肥後大津~立野~阿蘇間は熊本地震の影響で運休が続いていますが、2017年から復旧工事に着手。立野~中松間が運休中の南阿蘇鉄道も、2022年度の再開に向けて復旧工事中です。再開の暁には、南阿蘇鉄道の列車を豊肥本線に乗り入れさせることも検討されています。

 アクセス鉄道が建設されれば、豊肥本線の阿蘇方面や南阿蘇鉄道からも、空港へのアクセスが改善されます。熊本市中心部からのアクセスに比べ需要は小さいと思われますが、あるいは震災復興の「目玉」として、空港から南阿蘇鉄道や豊肥本線の阿蘇方面に直通する観光列車も運転されるかもしれません。

 もちろん、建設費をどう調達するかなどの課題は残っており、本当に実現するかどうかはまだ分かりません。とはいえ、10年前よりは実現の可能性が高くなったことは確か。今後の動きが注目されます。

【了】

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コメント

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4件のコメント

  1. 豊肥本線をうまく使えば熊本のみならず、大分へのアクセスも向上するのでは?

  2. 昔は三里木駅から分岐する案だったが、今は光の森駅からのほうが実用的で速い。
    費用にしても空港関連施設なので、空港会計特別会計を使うように航空局に働きかければ良い。
    今、大規模な空港工事は福岡空港しかないので、余っているはず。

    • たしかに、掲載された地図の案は明らかに遠回りで到底お勧めできるものではありませんね。

  3. 鉄道よりも、まずは熊本都心部~熊本インター~空港を経由して「中九州横断道路」につながる高規格道路の整備の方が重要ではないだろうか。市内から空港へは一般道路しかなく、バス運行の定時性にも欠けているのではないだろうか。利用者が増えたとはいえ、都心部へ直結していない鉄道よりも直結できているバスの方に注力した方が賢明。福岡などへの高速バスの定時性向上にも役立つ。バスに関しては便数をもっと増やせばいいだけのこと。