上に電線がないのに電車が走る 地下鉄に多い「サードレール方式」のメリットとは

サードレール方式の採用理由は地下鉄ならでは

 なぜ地下鉄で採用されているかというと、屋根の上に架線とパンタグラフを設置するスペースを必要としないサードレール方式の方が、トンネルの断面積が小さくなり建設費を節約できるという地下鉄ならではのメリットがあったからです。戦前から1950年代にかけて開業した銀座線、御堂筋線、四つ橋線、丸ノ内線、名古屋市営地下鉄東山線はいずれもサードレール方式で建設されました。

 ちなみに日本で初めてサードレール方式が採用されたのは、1912(明治45)年の信越本線・横川~軽井沢間(碓氷峠)です。蒸気機関車向けに造られたトンネルは断面が小さく、改築には多額の費用がかかることからサードレール方式で電化しています。そのため、この区間だけを走行する専用の電気機関車が製造されました。

 地下鉄のためにトンネルを小さくできるというメリットは、地下鉄以外の車両が乗り入れることができないというデメリットにもなります。東京の地下鉄ではその後、混雑緩和のため私鉄・国鉄との相互直通運転を全面的に行うことになり、都営浅草線、日比谷線以降の路線は全て架空電車線方式で建設されています。

 一方、大阪では一部を除いて相互直通運転を行わなかったため、その後も多くの路線が引き続きサードレール方式で建設されました。そのため大阪では、地上を走る近鉄けいはんな線が大阪メトロ中央線に直通するためにあえてサードレール方式を採用とする逆転現象も起きています。

 実は戦前の東京でも、京浜電気鉄道(現在の京急電鉄)が東京地下鉄道(現在の銀座線)に乗り入れるために、架線とサードレールの両方に対応するハイブリッド集電方式の電車を導入した事例がありますが、直通運転は実現には至りませんでした。

 1879年にドイツのジーメンス社がベルリン工業博覧会に出展した世界初の電気機関車は、走行用レールの間に設置されたサードレールから給電していました。2年後にベルリンに開業した路面電車は、走行用の2本のレールを使って電気を取り入れるさらにスマートな方式を採用しました。ところが路面電車が世界に普及するのは、わざわざ柱を立てて空中に電線をぶら下げる、架空電車線方式が発明されて以降のことでした。

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コメント

11件のコメント

  1. もう一つのメリット、聞いた話だが、サードレールは架線より磨耗に強くメンテナンスが楽というのが。

    • その代わり集電靴のメンテナンスが大変とも聞く。個数多く、押付力強く、デッドセクションの離線繰り返す割に集電部が小さいので。

    • そうですね、確か御堂筋線ではサードレールを60年ぶりに交換したという報道があった。
      まあ駅間の直線レールも数十年使えるそうなので、さもありなん。

  2. 第三軌条方式やリニア式の弱点の一つとして電圧から車両の大型化が厳しい事。
    モスクワ地下鉄も一部路線はあるが、架線方式も多く車両も欧米の地下鉄より大きくて広い。
    欧米は第三軌条方式だから車両規格が小さい場合が多く、大した輸送量じゃないのに混雑してしまう。

  3. 日本では恐らく北大阪急行の延伸区間が最後の第三軌条開業区間になるだろう。横浜、名古屋、大阪は該当路線の延伸計画が具体化されてないし。

  4. 東京近郊の人(含むマスコミ・芸能人)は、サードレールも架線も無くても機関車牽引でさえも「電車」と呼ぶね。 電動機か内燃機か無動力かを問わず、旅客用鉄道車両=電車みたい。

    そういう人たちにはどうでもいい記事だね。

    • 東京近郊に限らず、日本全国一般的にそうでしょう。

    • kapoさん
      全国ではないです。
      東日本なら分からなくもないが西日本だとJRは汽車か列車、私鉄を電車と呼ぶ地域もあるから。
      富山、奈良、香川、愛媛、高知、福井、三重、兵庫あたりがそうです。

  5. 碓氷峠区間の専用機関車 というのは、第三軌条集電だから というよりは、勾配区間で アブト式だった からですね

    その碓氷峠専用機関車も駅構内などは架線から集電していましたし