列車の「開かない窓」なぜ増えた? 技術の発展が変えた窓の役割

新鮮な外気を取り込む「換気」、しかし問題も

採光

 安価で取り扱いが簡易な照明装置が普及するまでは、明かりを確保する最も簡単な手段は太陽光を取り入れることでした。側窓だけでは車内の隅々に光が届かないので、初期の鉄道車両は屋根の上に段差を設けて二重の屋根とするダブルルーフ構造を採用し、段差に窓を設けて採光していました。

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レバー部分が取り除かれ開かなくなっている窓も(2009年3月、乗りものニュース編集部撮影)。

 夜間用の車内照明としては鉄道開業当初から石油ランプが設置されており、後に白熱灯が普及しますが、昼間と同等の明るさを実現するためのものではありませんでした。車内照明を常時点灯させる必要が生じるのは、鉄道が長区間の地下トンネルを走るようになってからのことです。

 現在も一部の鉄道事業者が日中の室内灯を消灯しているように、今も採光は窓の重要な役割のひとつであり続けています。

換気

 狭い空間に多くの人が乗車する鉄道車両にとって、暑くよどんだ空気を排出し、涼しくきれいな空気を取り込むための換気は欠かせません。

 車両の換気は、ベンチレーターと呼ばれる、風圧によって内気を吸い出したり、外気を吸い込んだりする装置が主に担いますが、初期の車両ではダブルルーフの採光窓を開閉させ、換気に用いるものもあるなど、窓とも密接な関係があります。そして車両の側面の窓も、さらに多くの外気を取り込み、車内に採風するための手段として活用されていました。

 一方で、窓が開くことでいくつかの問題も生じます。

 ひとつは新鮮な外気以外の、好ましからざるものの車内への侵入です。例えば突然降り出した雨が吹き込んできたり、騒音や悪臭が入ってきたり、蒸気機関車が運行されていた頃は、トンネル走行中は窓を閉めないと煙が車内に流れ込んでくるということもありました。ですから走行位置や環境に応じて窓を適時開け閉めすることは、旅客の重要なミッションのひとつであり、交通マナーでもありました。

 もうひとつは、窓から身を乗り出して車外へ転落したり、車内からはみ出たものが外部と接触したりする危険性です。そのため、特に乗車率の高い都市部の鉄道車両においては、窓の外に保護棒を設置するか、窓の上部だけを開けられる構造とするなど、窓の開口部を制限することで安全性を確保しています。

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コメント

8件のコメント

  1. 下降窓は開閉に存外ちからが必要だし、すれ違いなどの風圧でバタついてうるさい。
    今はないが東横線8000系急行などひどかった。
    海外の車両のように、窓の上部1/3程度が内側に倒れ込むのはどうか?
    顔を出せないし安全で良いと思う。

    • 内折れ式窓は日本では向かない構造だったり。
      解りやすいのが313系と同じ車体構造のキハは25系。
      車端の窓少し開くだけど、
      トンネルに高速で突っ込んで行った場合など、
      勝手に自動開閉窓状態。

      223系は知ってか知らずか非常時に限ると。
      知っていたのであれば納得の結果論…

  2. 113系の二段窓が全開できたことなど、今なら信じられないですね。
    窓の開く特急電車、185系ももうすぐ置き換えされるから、今のうちに乗っておきたいです。

  3. 209系で~。
    実はこれ最初にやったのは、
    京急800形と…。

    よくよく考えると、
    定山渓鉄道の方が元祖かというはなしに。

    定鉄は空調装置を忘れると言う致命的欠陥を抱えていたけど、
    3事例に共通するのが、
    (何らかの事情で)窓開けてくれ~。
    に対処出来なかったこと。

    なぜか歴史は繰り返す。
    を表してしまうと。

    • 京急800形は昭和55年製から下降窓増やしたが、非常時の窓開閉の必要性より前年からの第2次オイルショックにより冷房使用期間短縮などの省エネ対策によるため。

    • >通勤電車の「常識」を変えたのは、1993(平成5)年に登場したJR東日本の209系電車です。
      既に出ているが209系よりも15年前からありますね。
      通勤電車なら京急800形と、1ヶ月違いで出た北総7000形です。

  4. 1ページの写真と同じく東武も50050系で後から窓開けれるように改造したな

  5. 現在、通勤電車で今でも固定窓なのは、つくばエクスプレス車両だけですが、いずれは開閉窓に改造してほしいです。東武50000系グループの初期車両も6〜7年前迄は固定窓でしたが、2012年度末期迄にJRの様な開閉窓に改造されました。現在は一般的な二分割式1段窓となってます。