列車の「開かない窓」なぜ増えた? 技術の発展が変えた窓の役割
変わる窓の役割と常識
冒頭に述べたように、窓の役割は技術の発展とともに次第に変わっていきます。
営業最高速度110km/hのビジネス特急「こだま」用に、1958(昭和33)年に製造された国鉄の151系特急形電車は、全車に空調設備を完備することで、客室を固定窓とした最初の車両です。
151系が固定窓を採用した理由のひとつが、列車の高速化です。空気抵抗は速度の二乗に比例するため、100km/h以上を超えると運転速度を行うためには空気抵抗の影響を無視することができません。窓を開けると空気抵抗が増大するため、固定式の窓を採用したのです。これは200km/h以上で走行する新幹線ではさらに重要な要素となり、特急車両は窓が開かないことが「常識」になっていきました。
通勤電車の「常識」を変えたのは、1993(平成5)年に登場したJR東日本の209系電車です。それまでの通勤電車が長い歴史の中で改良を積み上げて作られてきたのに対し、209系は全く新しいコンセプトに基づいて、最新の技術を用いて一から設計されました。
コンセプトの中心には徹底した軽量化が掲げられ、車体の構造や各種装置の見直しにより、編成全体の重量を旧型車両の半分程度にすることが目標とされました。
窓、ベンチレーター、冷房についても役割を整理し、換気と冷房を兼ねた空調装置を通年稼働させることで、車両端の小窓を除き固定窓として開閉機構を省略しました。さらに熱線吸収ガラスを用いることでカーテンも省略するなど、軽量化とコストダウンを徹底しています。
ところがこの新たな試みには大きな問題がありました。換気と冷房のすべてを機械化したことで、停電などにより空調装置が停止した場合に換気性能が極端に低下してしまうのです。実際に209系が長時間立ち往生した際に体調不良者が続出する「事件」が発生したこともあり、結局固定窓の一部を開閉できるように改修工事が行われ、その後の新型車両は開閉できる窓が増やされました。
しかし209系の登場を契機として、通勤車両の窓を開ける習慣がなくなっていったことは間違いありません。窓を閉めた方が騒音も少ないですし、窓を開けることで窓から吹き込む風で髪が乱れたり、花粉が侵入したりするのを嫌う人もいます。空気清浄機を設置して、車内の空気にまで気を遣う鉄道事業者も登場するほどです。
最近は一部の窓が開くことに気付かない、または知らない乗客が増えたために、「この窓は開けることができます」というステッカーが貼られた車両も走っています。いざという時に備えて、開けられる窓を見つけておくのも重要かもしれません。
【了】
下降窓は開閉に存外ちからが必要だし、すれ違いなどの風圧でバタついてうるさい。
今はないが東横線8000系急行などひどかった。
海外の車両のように、窓の上部1/3程度が内側に倒れ込むのはどうか?
顔を出せないし安全で良いと思う。
内折れ式窓は日本では向かない構造だったり。
解りやすいのが313系と同じ車体構造のキハは25系。
車端の窓少し開くだけど、
トンネルに高速で突っ込んで行った場合など、
勝手に自動開閉窓状態。
223系は知ってか知らずか非常時に限ると。
知っていたのであれば納得の結果論…
113系の二段窓が全開できたことなど、今なら信じられないですね。
窓の開く特急電車、185系ももうすぐ置き換えされるから、今のうちに乗っておきたいです。
209系で~。
実はこれ最初にやったのは、
京急800形と…。
よくよく考えると、
定山渓鉄道の方が元祖かというはなしに。
定鉄は空調装置を忘れると言う致命的欠陥を抱えていたけど、
3事例に共通するのが、
(何らかの事情で)窓開けてくれ~。
に対処出来なかったこと。
なぜか歴史は繰り返す。
を表してしまうと。
京急800形は昭和55年製から下降窓増やしたが、非常時の窓開閉の必要性より前年からの第2次オイルショックにより冷房使用期間短縮などの省エネ対策によるため。
>通勤電車の「常識」を変えたのは、1993(平成5)年に登場したJR東日本の209系電車です。
既に出ているが209系よりも15年前からありますね。
通勤電車なら京急800形と、1ヶ月違いで出た北総7000形です。
1ページの写真と同じく東武も50050系で後から窓開けれるように改造したな
現在、通勤電車で今でも固定窓なのは、つくばエクスプレス車両だけですが、いずれは開閉窓に改造してほしいです。東武50000系グループの初期車両も6〜7年前迄は固定窓でしたが、2012年度末期迄にJRの様な開閉窓に改造されました。現在は一般的な二分割式1段窓となってます。