追加調達か、早期警戒機E-2D「アドバンスド・ホークアイ」 空自の新しい「空飛ぶ目」
CEC機能がほぼ間違いなく追加されるだろうワケ
防衛省は2014年度から2018年度までに、E-2Dを4機予算化しており、2019年度防衛予算が概算要求の通りに認められれば、航空自衛隊のE-2Dの発注数は合計6機ということになります。
ただ、2019年度概算要求には、発注から納入までに時間のかかるE-2Dの部品の調達費として265億円が計上されているほか、アメリカ国防総省の機関で安全保障に関する政策を担当する国防安全保障協力局が9月10日に、日本に対して最大9機のE-2Dを売却することを承認し、アメリカ連邦議会に輸出承認の審議を求める通告を行なっていることなどから、航空自衛隊は2020年度以降も、E-2Dの調達を続けていく可能性が高いと考えられます。
航空自衛隊は早期警戒管制機(AWACS)E-767を運用する第602飛行隊、E-2Cを運用する第601飛行隊と第603飛行隊の、3個飛行隊で「警戒航空隊」を編成していますが、2019年度概算要求には、日本周辺の警戒監視能力を強化するため、飛行警戒隊を、「警戒航空団」に格上げするための予算も計上されています。
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2019年度概算要求に調達費が計上されたE-2Dは、警戒監視能力を強化するための増強分とも考えられますが、一方で初期に導入したE-2Cの老朽化が進んでいることから、航空自衛隊は老朽化したE-2Cの後継機に充てる可能性も示唆しており、今後E-2Cは順次E-2Dで更新されると見られています。
E-2Cの後継機に関しては一時期、国内開発も取りざたされていましたが、国産早期警戒機ではなくE-2Dを選んだ最大の理由は、E-2Dがイージス艦などと情報を共有するCEC(共同交戦能力)を備えている点にあると筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は思います。
アメリカ海軍は巡航ミサイルなどの低空を飛行する目標をE-2Dで探知し、E-2Dから送信された目標のデータを使用してイージス艦などに搭載された「SM-6」ミサイルで迎撃する計画を進めています。2017年11月に初飛行した航空自衛隊のE-2Dの初号機はCEC機能を備えていませんが、海上自衛隊がSM-6ミサイルの導入を決定していることなどから、複数のメディアは防衛省がCEC機能の追加を検討していると報じています。
防衛省・自衛隊は陸海空三自衛隊を密接に連携させる「統合運用」の強化を進めており、今後の航空自衛隊の早期警戒機には、これまで以上に海上・陸上自衛隊との連携能力が必要となることなどから判断すれば、E-2Dの追加調達は適切な判断だと筆者は思います。
【了】
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