四日市あすなろう鉄道が導入した「公有民営」光と影 「小さな鉄道」再始動から3年(写真64枚)

三重県の四日市市内には、かつて大手私鉄の近鉄が経営していた「小さな鉄道」があります。一時は廃止の話も浮上しましたが、「公有民営方式」と呼ばれる新しい経営体制を導入して存続の危機を脱しました。あれから3年がたち、現在はどうなっているのでしょうか。

毎年3億円の赤字を計上

 中京工業地帯の一角を占める三重県四日市市には「小さな鉄道」があります。その名は「四日市あすなろう鉄道」。あすなろう四日市駅(近鉄名古屋線の近鉄四日市駅に隣接)を起点に市内南部の内部(うつべ)駅に伸びる内部線と、西日野駅に向かう八王子線の2路線(内部・八王子線)を運営する鉄道会社です。

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四日市市内の住宅街を走る四日市あすなろう鉄道の電車(2018年9月26日、草町義和撮影)。

 2018年9月26日(水)の朝、内部・八王子線の列車に乗ってみました。駅のホームから線路をのぞき込んでみると、2本あるレールの幅(軌間)が狭く見えます。

 軌間の寸法は762mm。新幹線や近鉄名古屋線(1435mm)の半分よりは少し広い程度で、JR在来線(1067mm)と比べてもかなり狭くなっています。そこを走る車両も小さく、車内の座席は横1列に2席しかありません。内部駅から通勤、通学時間帯の列車に乗ってみたところ、地方の鉄道としてはまずまずの人数でしたが、車体が小さいため座席はもちろんのこと、立席スペースになっている通路もほぼ完全に埋まりました。

 実はこの「小ささ」に、「あすなろう」という少し変わった社名と、内部・八王子線の経営事情が隠されています。

 内部・八王子線は1910~1920年代に開業。戦後の1965(昭和40)年以降は大手私鉄の近鉄が運営していました。しかし、四日市市が工業地帯の整備や名古屋近郊のベッドタウン化に伴って人口が増え続けたのに対し、内部・八王子線の利用者は減少。1970(昭和45)年度の利用者数は約722万人でしたが、40年後の2010(平成22)年度は約360万人で、ほぼ半分に落ち込みました。

 内部・八王子線は狭い軌間を採用した特殊な鉄道のため、速く走るのが困難。一度に運ぶことのできる人数も限られています。このため、周辺の道路が整備されていくにつれ、内部・八王子線の利用者がバスや乗用車などに移っていったのです。

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コメント

2件のコメント

  1. 23号から少し離れた町工場に私の御得意様がありまして、年末の挨拶には毎度利用してましたが、黒部峡谷鉄道のような感じでしょうかね?
    冬場の乗車でしたが冷房設備が無かったように思います。
    しかしながら複雑な経営改善策には脱帽ですね。
    車で23号や伊勢湾岸は利用しますが個人的には工業盛んなイメージを持ってますが鉄路の生き残りとなると課題が山積なのでしょうね。

  2. 公有民営化で5000万円の黒字で経営改善と言ってもあくまで従来の数億に上る赤字分を四日市市が補填しているだけなわけで、今後これをズルズル続けていくだけの覚悟が市と住民にあるんでしょうか。
    私も10年ほど前に住んでいましたが、駅の場所はわかりづらく、沿線も工場地帯から離れてますし揺れもきつく速度も遅いので乗客は高齢者メインに朝夕の学生がちらほらといった状態でした。ノスタルジーに浸れるところだけは良かったですけどね。
    車体も設備も老朽化してますから、(改軌して車両規格の共通化などに踏み込まない限り)市長が覚悟決めてBRTかガイドウェイバスにでも転換しとけば良かったような気がします…