「ザ・昭和の観光」な定期観光バス、なぜいま人気 はとバスV字回復、地方でも脚光のワケ

「どの都市でも金太郎飴」にならないために

 定期観光バスがさらに多くのFITを集めるには、ふたつの変化が必要です。ひとつは多言語対応。ウェブ上で多言語でコースを紹介し予約を受け付けることはもちろん、車内での観光案内を多言語で行うことも重要です。はとバスでは、いわゆるバスガイドではなく、英語や中国語を話すツアーガイドが乗車する外国語コースが運行されています。

 言語別にコース設定するほどの需要がない地域でも、ジェイアールバス東北、西日本ジェイアールバスらが運行する定期観光バスで、GPSを活用し多言語で自動的に音声案内が流れる機器が採用されています。乗客はイヤホン型のレシーバーで言語を選択し、案内を聞くことができます。

 もうひとつはコース内容の見直しです。地元の観光スポットを網羅的に回るだけでは、どの都市の定期観光バスも「金太郎飴」になってしまいます。遠来の旅行者やFITが喜ぶような演出、その土地でしか味わえない体験を、もっと取り入れていく必要があります。例を挙げれば、「KIMONO」を着て旅を楽しめる仕掛け(浴衣のレンタルなど)、地場産業の職業体験といった具合です。

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日の丸自動車興業が運行する「スカイバス東京」。同社は全国にこの車両を貸し出し、運行の支援も行っている(中島洋平撮影)。

 FIT、国内旅行者、そして地元在住者に対しても、日常生活では味わえないワクワク感、旅のプロしかなしえない演出、そして地元のバス事業者だからこそ実現できる、その土地ならではの一歩深い旅行体験を提供することができれば、定期観光バスはもうひと花咲かせることができるはずです。

【了】

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コメント

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2件のコメント

  1. 水陸両用バスによる定期営業運転は「東京が広めた」ではなくて大阪が先ですな……。
    閑話休題、京都の定期観光バスも共同運行の京都市交通局撤退後、「全国各地に知名度を高めたい」京阪グループの京阪バスが必死ですからね。季節運行とは言え、西武グループの近江鉄道バス、近鉄グループの奈良交通、阪急阪神グループの丹後海陸交通と組んで共同運行したり(京阪バスグループによる丹後海陸交通との共同運行はそれこそ路線バス含めて初めてのはず)、地場の貸切バス会社、明星観光バスと組んでスカイバスやってみたり、はてはウィラーのレストランバス売ってみたり。

  2. 他にも平成が終われは復権する昭和の遺物があるかも知れない