「移動給油所」はGS過疎を救うか 「どこでもスタンド」でタンクローリーから直接給油

経済産業省としても「新たな試み」 地元からの標板は?

――実運用となった場合、どのような体制になるのでしょうか?

 細かな決まりは今回の実験結果を踏まえ、経済産業省や消防庁で検討していくこととなりますが、事業としては自治体が行うのではなく、民間で行うことを想定しています。今回の実験でも、運用は地元の業者に委託しています。

――地元からの評判はいかがでしょうか?

「近場で給油できるのはありがたい」というお声をいただいています。1回目に実施した龍山地域は、実験場所となった旧ガソリンスタンドが10年前に廃業して以来、住民のみなさんは給油のために片道10km以上の距離を往復しなければならない状況です。加えてこの地域では高齢化も進んでいます。日にちと時間を決めたうえで限定的に給油所として開設するだけでも、利便性は大きく改善するでしょう。

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防災訓練における「どこでもスタンド」を使った仮設給油所の設置例(画像:経済産業省「第2回次世代燃料供給インフラ研究会」資料)。

 ガソリンスタンドの減少対策に取り組む、経済産業省 資源エネルギー庁も、今回の実験を、ひとつの新たな試みと位置付けています。

 一般的にガソリンスタンドと呼ばれる「給油取扱所」は、危険物施設(危険物の製造所、貯蔵所、取扱所の総称)のひとつで、地下タンクをはじめとする安全を確保するための細かな施設基準が消防法で定められています。ガソリンの揮発性や可燃性が高いことなどによるもので、指定数量以上(ガソリンの場合200リットル以上)の危険物を貯蔵したり、取り扱ったりすることは、危険物施設以外では原則としてできないことになっています。

 しかし、来店客が少ない過疎地におけるガソリンスタンドの採算性維持が困難となるなか、地域特性に応じた効率的な運用形態についても、経済産業省および総務省消防庁で検討されてきました。そのひとつが今回の、タンクローリーから直接給油する「移動給油所」という形態です。資源エネルギー庁は、「過疎地の拡大は避けられないことからも、ガソリンスタンドの『維持』だけでないあり方を視野に入れていく必要があります」と話します。

 資源エネルギー庁によると、今回の実験は「ガソリンスタンドの再開見込みが立たない」という浜松市からの相談を受けて実施に至ったとのこと。同庁は計4か所の運用状況を踏まえて、今後の展開を検討していくそうです。

【了】

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