東海道新幹線で「におい」の訓練 そのワケは 2018年「総合事故対応訓練」(写真59枚)
毎年1回行われている、東海道新幹線の大規模訓練。今回初めて、部品の「におい」を体感する訓練が実施されています。なぜこのような訓練が行われたのでしょうか。
参加人数は新幹線1編成の定員に匹敵
JR東海は東海道新幹線で発生した線路や車両のトラブル、災害発生時の対応力を高めるため、大規模な訓練を原則として毎年1回行っています。2018年は「総合事故対応訓練」と題し(従来は「総合事故復旧訓練」)、12月13日(木)に三島車両所(静岡県三島市)で行われました。
今回の大規模訓練では、「におい」と「音」を体感する訓練を初めて実施。2017年12月、東海道・山陽新幹線の上り「のぞみ34号」で台車に亀裂が生じた重大インシデントを踏まえたものです。床下の機器類に異常が発生したことを想定し、においや音から機器に異常が発生しているかどうかを判断するという内容でした。
訓練に参加した乗務員は、部品に付着しているにおいのサンプルを嗅いで、部品ごとのにおいの違いを体感。実際に集音した列車の走行音も流し、走行時の音の様子を確認していました。
また、駿河湾で地震が発生したという想定で「お客様救護訓練」を実施。列車が線路上で停止して長時間動けない状態になったことから、線路をメンテナンスする社員や地元の消防隊などが駆けつけ、乗客役の社員を車外に誘導して避難させるという訓練が行われました。
2018年6月の殺傷事件を踏まえ、これまでに数回行われている「不測の事態対応訓練」も実施。乗務員や警備員、警官がさすまたや防護用の盾、催涙スプレーを使って、刃物を持った不審者役を取り押さえていました。
ほかにも、保守用の高所作業車を使った設備点検の訓練や、保守用の車両を救援のために列車へ連結する訓練なども実施。全部で25項目の訓練が同時並行で行われています。参加したのは約1200人。東海道新幹線を走るN700Aの編成定員(16両で1323人)に匹敵する多さでした。
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Writer: 草町義和(鉄道ニュースサイト記者)
鉄道誌の編集やウェブサイト制作業を経て鉄道ライターに。2020年から鉄道ニュースサイト『鉄道プレスネット』所属記者。おもな研究分野は廃線や未成線、鉄道新線の建設や路線計画。鉄道誌『鉄道ジャーナル』(成美堂出版)などに寄稿。おもな著書に『鉄道計画は変わる。』(交通新聞社)など。
全自動にどっぷり浸かった世で五感を封じて今更に臭いかよ?
だって異音や異臭を現場で検知しても指令が行かせたらアウトだろうに