【国鉄105系の現況】新造と改造、多種多彩な形式と番台を見る

105系は最初から105系として新造された車両のほか、103系を改造して105系に編入した車両も。とくに改造車は種車の車種によって車体の構造や前面のデザインも大きく異なります。多種多彩な車両群を構成している105系の各形式と各番台を解説します。

105系の各形式

 105系は大きく分けて、「最初から105系として新造された車両」(クハ105形を除く0番台)と、「103系を改造して105系に編入した車両」(100・500・600番台およびクハ105形0番台)の2種類があります。

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広島駅で227系と並ぶ、103系改造4扉車のクハ105形(左)。広島地区の105系4扉車は227系に置き換えられて2016年に姿を消した(2016年3月16日、佐藤利生撮影)。

 新造0番台は先頭車がブラックフェイスですが、改造車は種車となった103系の車種によってスタイルが大きく異なるのが特徴といえます。

 新造車のグループを構成しているのは、制御電動車クモハ105形と制御車クハ104形、電動車モハ105形、付随車サハ105形の4形式。2両編成が基本ですが、かつては4両固定の編成もありました。改造車はモハとサハがなく、クハはクハ104形とクハ105形の2形式があります。

クモハ105形0番台(1~31)

 1981(昭和56)年の1月から3月にかけて東急車輌、近畿車輛、日立製作所で新造された制御電動車(Mc)です。東急製のクモハ105-1~8が福塩線用として府中電車区に、近車と日立製のクモハ105-9~27が宇部・小野田線用として宇部電車区へ配置されました。

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クモハ105-31は新造車のモハ105形をのちに先頭車化した車両。先頭寄りの戸袋窓が大きくなっている(2016年3月16日、佐藤利生撮影)。

 後位にパンタグラフを持ち、主電動機、主制御器、主抵抗器といった主回路機器のほか、補機のMG、CPや蓄電池も搭載。1両単独で運転が可能な装備を持っています。車体は片側3扉のオールロングシートで、運転台は貫通形高運転台構造になりました。

 クモハ105-28~31の4両は、1984(昭和59)年度に鷹取工場と広島工場でモハ105形0番台に運転台ブロックを取り付けてMc化した改造車。乗務員室直後の狭い側窓がなく、隣接する戸袋窓が大きくなっています。現在、新造車グループは全てAU75形1基またはWAU102形3基で冷房改造され、体質改善工事を施工済み。31両全車が残っています。

クモハ105形100番台(101)

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Writer:

1961年東京生まれ。幼少より鉄道に興味を持つ。大手私鉄で運輸、車両、企画部門などを経験し、部長職で退職。在職中より鉄道趣味誌で国内外の鉄道車両に関する記事や写真を発表。鉄道設計技師(車両)、慶應義塾大学鉄道研究会三田会と海外鉄道研究会の会員。全国のJR、民鉄、軌道、モノレール、新交通は全線を完乗。

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