東北の高速バス事情 列車からバスへ継承された「夜行文化」、新幹線延伸でどう変わった
昼行路線も活発 高速バスが「通勤通学の足」にも
一方、短・中距離の昼行高速バスは仙台を中心に路線網が形成されています。山形線(最大80往復)、福島線(最大27往復)など短距離路線は自由席(非予約)制で高頻度に運行され、片道3時間を超す秋田や弘前、青森などへは座席指定制が採用されています。これらの路線は、仙台を拠点とする宮城交通やジェイアールバス東北が、福島交通や秋田中央交通など各県を代表する事業者と共同運行しています。仙台発着以外では、大館~盛岡、庄内地方(鶴岡、酒田)~山形などで、高速バスは大きなシェアを持ちます。
異色なのは、いわき~郡山~会津若松線です。1969(昭和44)年に運行が開始され(当初は一般道経由。高速道路延伸により高速道路に変更)、常磐交通自動車(現・新常磐交通)が2階建てバスを導入するなど観光要素もありました。現在ではピーク時に20分間隔で運行され、並行する鉄道よりも便利なことから、福島県内における通勤通学の重要な足になっているのです。
福島県は、首都圏へも昼行便の運行に適した距離にあるため、いわき~東京(33往復)をはじめ、福島、郡山、会津若松から東京線が運行されています。いわき~東京間は、所要時間が3時間強と鉄道(特急で2時間強)より長いものの、インターチェンジ周辺でパーク&ライド(高速バス停周辺の駐車場にクルマを停め、高速バスに乗り換える)環境が整備されていることから、地元の人にとって自宅から東京都心への所要時間は大差なく、高速バスが東京への足として定着しています。会津若松~東京間も、鉄道だと乗り換えが必要なことから、高速バスが大きなシェアを持ちます。
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