韓国艦のレーダー照射、本当に海自P-1哨戒機は「脅威」だったのか? 検証する

「海軍」というものの役割を考えると…

 韓国側が、「火器管制レーダーを照射された」という日本側の主張に対して、論点をずらす目的をもっているのだろうとしても、なぜあえてこのような合理性に欠ける言いぶんを選んだのかは、不思議であるとしか言いようがありません。

 いずれにせよ世界中の海軍関係者は、韓国側の主張を受け入れることはないと筆者(関 賢太郎:航空軍事評論家)は考えます。もし韓国が日本に対する謝罪要求を続けるならば、韓国は対外的な信用を失うことになるでしょう。特にその影響を被るのは、レーダー照射したとされる当事者の韓国海軍です。

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厚木基地へ親善のために飛来した韓国海軍のP-3CK哨戒機。韓国海軍はかなり頻繁に来日している(画像:海上自衛隊)。

「海軍」は、他国と交流する機会が多い軍種です。韓国海軍が日本に来訪することも少なくありません。レーダー照射したとされる「広開土大王」は何度も日本へ寄港していますし、韓国のP-3は、まさにレーダー照射を受けたとされる海上自衛隊のP-1が所属する厚木基地(神奈川県)にも、親善のために飛来したことがあります。2年に1度行われる、近年では20を超える国々が参加する環太平洋合同演習(RIMPAC:リムパック)も、日本は1980(昭和55)年から、韓国は1990(平成2)年から毎回参加していますし、そうした演習以外にもさまざまな国へ、韓国海軍は頻繁に訪れているはずです。

 海上自衛隊やアメリカ海軍と深いコネクションをもつ韓国海軍の軍人、特に厚木基地へ親善飛行に訪れた、韓国哨戒機の搭乗員の心中は、穏やかではないでしょう。2016年に厚木基地へ飛来した韓国海軍第6航空戦団のユ准将は、「私たちP-3Cの部隊交流が、日韓関係が良い方向へ向かうきっかけとなることを望んでいます」と発言しています。

 韓国はいま、これまで努力して確立してきた自らの面目をもつぶす「諸刃の剣」を手にしてしまっています。

【了】

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コメント

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10件のコメント

  1. よく分かりました。ありがとうございます。

    • ほんとに。他の人の記事では韓国軍機の例が書いてなかったのに比べると、ほんとによく分かった。

  2. 根本的に公海ではなく、日本のEEZ内だったという事を、
    日本政府はもっと言うべき。
    通過は許されるがその他の行為は許されないはず。

  3. >10cm先にある7.3mmの物体と同じ大きさに見えます。
    印象操作と取られかねないんで普通に7.3cmで良かったのでは?

  4. 文中に「これは通常、水平方向の距離を表しますから、直線距離は522mと算出できます(底辺500m、高さ150mの直角三角形の斜辺)。」と書いてあるが、三角関数は絶体必要な知識なのか?

    • 三角関数要らんし。「(一辺の二乗+もう一辺の二乗)の平方根」で算出できる。算数(か中学校の数学か)で習ったはず。

      √(500^2+150^2)=522.015

    • なぜその計算で導出できるかこそ三角関数なのだが…

  5. 韓国の船と北朝鮮の船がそこで何をしていたか、その辺は有耶無耶のまま、話題がどんどんそれていく・・・

  6. 友好国の飛行機なり船舶が近づけば手を振るなり、挨拶するのが普通の行動ではないのかな?
    それを脅威や威嚇と感じるのは見られたくないことをしていたか、仮想敵国と考えているからでは

  7. 軍用機が船舶に接近する場合、飛び方そのものが船に対する国際信号の意味を持ちます。例えば、低空で船の直前を横切れば停戦命令になります。また側方を後ろから前に通過すれば、「航行を再開してよし」の意味になります。
     自衛隊の哨戒機乗員はこうしたルールを熟知しており、常識に従って慎重に接近したはずです。こちらがレーダー波を浴びせたりしない限り、「豆粒大」の距離の飛行を脅威と呼ぶのは、ちょっと無理があるでしょうね。